2018 Fiscal Year Research-status Report
骨内微小環境下における歯原性上皮の分化または増殖への転写調節が腫瘍化に関わる影響
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18K09549
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊本 裕行 東北大学, 歯学研究科, 教授 (70215028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 良央 東北大学, 歯学研究科, 助教 (30302152)
及川 麻理子 東北大学, 歯学研究科, 助教 (00712902) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歯原性腫瘍 / 腫瘍発生 / 細胞分化 / 骨内進展 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨内微小環境での歯原性上皮の分化や増殖に影響すると考えられる、脈管新生関連分子および血管・リンパ管の密度について検索した。
1. 方法:エナメル上皮腫64例(初発45例、再発19例;充実型36例、単嚢胞型9例を含む)と対照の歯嚢8例を用い、EphA2、EphB4、EphrinB2、CD34、D2-40の発現・局在について、免疫組織化学により解析した。 2. 結果:EphA2、EphB4、EphrinB2は、歯原性上皮性細胞および脈管内皮細胞に発現がみられた。これらの発現は、歯嚢よりエナメル上皮腫で有意に高かった。CD34は血管内皮細胞に、D2-40はリンパ管内皮細胞に陽性を示した。観察単位面積当たりの血管密度は、歯嚢よりエナメル上皮腫で高く、充実性エナメル上皮腫で単嚢胞性エナメル上皮腫より高い傾向を示した。またリンパ管密度は、歯嚢よりエナメル上皮腫で高かった。 3. 考察:Eph/Ephrin系シグナル分子が歯原性組織の存在する骨内微小環境の脈管新生状況に影響することが示唆された。この脈管新生は腫瘍組織の組織構築とも関わり、骨内進展の判定因子となり得る可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯原性腫瘍の分化・増殖に影響を及ぼすと考えられる骨内微小環境の変化を示す因子を検索し、脈管関連分子と脈管新生との関連が示唆され、興味深い結果と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
骨内微小環境での歯原性腫瘍の分化または増殖に影響を与えると考えられる幹細胞関連分子のSox2, Oct3/4や個体発生シグナル分子のYAP, TAZについて、免疫組織化学を主とした検索を進め、ウエスタンブロット法やRT-PCR法での確認も考えている。腫瘍間質に関しては、vimentinおよびα-smooth muscle actinに対する抗体を用いて免疫染色を行い、筋線維芽細胞を同定しその局在および程度について、また、CD68, CD163, CD204に対する抗体を用いて免疫染色を行い、M1・M2マクロファージの同定を行いその局在や比率について検討している。また、腫瘍発生や腫瘍細胞分化に関わる分子のターゲットシークエンスによる網羅的解析についても準備を進めている。これらにより、上皮性歯原性腫瘍の骨内微小環境との相互作用と分化・増殖の転写調節の関連について検討を進める。
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