2018 Fiscal Year Research-status Report
Functional analysis of oral dysbiosis associated with inflammatory bowel disease
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18K09558
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
桑田 啓貴 昭和大学, 歯学部, 教授 (60380523)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ディスバイオーシス / 粘膜免疫 / 自然免疫 / レンサ球菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
OVA経口投与によるマウスの腸炎アレルギーモデルを用いて、腸内環境における細菌叢の乱れ(ディスバイオーシス)を定量的に観測した。その結果、炎症憎悪時に特定菌群が増加することを見出した。また、これらの特定菌群は腸内環境において、アレルギー増悪と関連することが想定されたため、invitroにおける免疫細胞からの炎症誘導能について検討したところ、IL-33などのTh2増強誘導能を有するサイトカイン誘導を引き起こすことが示された。 これらの特定菌群を抗菌薬を投与し、体内の細菌叢を可及的に除去したマウスに投与し、腸管における炎症応答を検討したところ、粘膜固有層における好酸球の増加およびT細胞における細胞内サイトカイン産生能のFACS解析などにより、Th2増強が確認できたことから、腸内細菌叢においてこれらの菌群の増加が腸管免疫応答を変化させたとの結論を得た。 上記の結果を基に、口腔内においても同様にディスバイオーシスが誘導されているのではないかとの想定の基に、マウス唾液における細菌叢の変化を解析したところ、腸管においてアレルギーを発症しているマウス群において、やはり特定菌群の増加が認められ、口腔においても同様にディスバイオーシスが誘導されているとの結果を得た。現在、口腔ディスバイオーシスと腸管における炎症応答および腸管ディスバイオーシスが関連しているのか、また関連しているとしたらどのようなメカニズムによるのかについて解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのところ、研究課題を進める上で、解決不能な問題には直面していない。 2019年おり所属大学の共同動物飼育施設として、マウス無菌飼育設備が設置された。これにより、当研究課題で予定していた無菌マウスを用いた感染実験を行うことも可能となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔内のディスバイオーシスと腸管ディスバイオーシスがどのように関連するのかについて検討を進める。いくつかのプレリミナルなデータから、腸管における炎症誘導の結果、全身的な抗体産生細胞の変化が誘導され、粘膜特異的に機能する種類のIgA抗体の特異性に変化が生じているのではないかと推測されている。特定IgA産生細胞群のクローナリゼーションが腸管細菌叢の制御に重要であるとの研究が近年注目を集めており、同様に口腔においてもIgA抗体と細菌叢との相互作用がディスバイオーシスの誘引に関わる可能性を検討している。今後は粘膜特異的IgA抗体の特異性の変化の定性的および定量的解析と抗体結合細菌種の同定を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
1年目の研究計画で研究試薬などを効率的に使用することで、支出を抑えることができたため、当初の必要経費で余剰分を得ることができた。これらは翌年度以降の研究費ととして組み込み、実験サンプル数を増やすことで、より包括的な実験データを得るために活用することができる。
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Research Products
(9 results)