2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒトγδ T細胞による口腔癌抑制作用をニュートリゲノミクスにより制御する
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18K09563
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
堂前 英資 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (50454559)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒトVγ9Vδ2 T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔癌細胞内でのイソペンティニル二リン酸の生成と癌細胞周囲の栄養状態との関係を明らかにし、栄養状態の制御を介した口腔癌細胞内でのイソペンティニル二リン酸の生成誘導と、これを認識し活性化されたヒトγδ T細胞による抗癌作用誘導のメカニズムを本課題研究で検討した。複数のヒト口腔癌細胞株がBTN3A1を発現することを確認した。窒素含有ビスホスホネートによるメバロン酸経路阻害で細胞内にイソペンテニル二リン酸を生成 しヒトγδ T細胞を活性化(インターフェロンγ発現)することを確認した。また、これらの口腔癌細胞はヒトγδ T細胞により殺傷されることを確認した。培養口腔癌細胞の培地中の血清から脂質を除去することにより、転写因子SREBP2の切断(活性化)が生じることを確認した。培養口腔癌細胞からシクロデキストリンを用いてコレステロールを特異的に除去することにより、SREBP2の切断が生じることを確認した。脂質除去血清を添加した培地で培養した口腔癌細胞 にLDLを添加することによりSREBP2の不活性化が生じた。SREBP2の活性化はコレステロール合成系の酵素を誘導することから、コレステロール合成系の中間代謝産物であるイソペンテニル二リン酸の口腔癌細胞内での蓄積を誘導すると考えられた。そこで、上記SREBP2活性化条件下の口腔癌細胞をヒトγδ T細胞と共培養したところ、SREBP2非活性化条件下と比較して細胞傷害活性を強く誘導することが確認された。このように、癌細胞の微小環境中の脂質が癌細胞の代謝に影響を及ぼした結果、ヒトγδ T細胞の抗癌作用の増強を誘導することが明らかとなった。さらに、複数の合成化合物をスクリーニングした結果、コレステロール合成系に影響を及ぼす化合物を同定し、ヒトγδ T細胞による抗癌作用に及ぼす影響を現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元年度に本研究課題の一部をまとめた論文を提出できたが、令和2年度のコロナ対策により当初の研究予定通りに進まない部分が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要に述べたように、現在行っている有機合成化合物による口腔癌細胞の代謝制御が、ヒトγδ T細胞による抗癌作用にどのような影響を及ぼすかを検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス対策に伴い、研究施設の一時的な利用停止と教育業務における動画作成などの必要性により、当初の研究計画の変更を余儀なくされたため。次年度使用額は、前年度に行うことができなかったイメージングデータ取得に必要な、蛍光色素、抗体などの試薬を中心に、細胞培養消耗品の購入費用にもちいる。
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