2019 Fiscal Year Research-status Report
口腔内歯周病菌が腸管免疫・腸内細菌へ与える影響と炎症性腸疾患への関連性の解明
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18K09565
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
竹田津 英稔 福岡大学, 医学部, 准教授 (80352144)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 歯周病 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患(Inflammatory bowel disease: IBD)は腸管に慢性の炎症をきたす自己免疫疾患であり、病因の一つとして細菌が関与していることが分かっている。私たちは、歯周病菌の菌種や菌量がIBDに与える影響を検討することは重要であると考えられ、 IBD 患者そしてコントロールとして健常人を対象とし、口腔内の唾液よりDNA を抽出し、PCR-インベーダー法にて菌を定量的測定した。昨年に引き続き、口腔内唾液中の総菌量の測定、および歯周病関連菌の定量を行った。検体数を増やしても、口腔内の細菌量についてはクローン病、潰瘍性大腸炎、健常人の順に高く、一方、歯周病関連菌であるFusobacterium nucleatumは潰瘍性大腸炎に多く見られる傾向であった。口腔内細菌量および歯周病関 連菌と疾患活動性や内視鏡所見との関連性は認めていない。ガム検査法により検査を行ったIBD患者中で歯周病の診断に至った症例はなかったため、歯周病菌を治療することがIBDの改善につながるかの評価については行えていない。 基礎研究においてはFusobacterium nucleatumの大量培養を行い、1チューブあたり10億個のFusobacterium nucleatumの準備を行った。次年度よりマウスに経口投与を行い、腸管や腸内細菌にどのような影響を及ぼすか、そして腸炎マウスに対し経口投与を行うことで、腸炎がどのように変化するか反応について研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
歯周病検査については確実に件数を増やしている状況である。今までの歯周病菌の検査の結果、歯周病を示唆する所見を有した患者さんはいなかった。しかし、詳細な各歯周病菌と炎症性腸疾患の病態との関連性についてはある程度の関連性が見出されている。さらに検査数を増やしていく必要があると考えられ、患者のリクルートに取り組んでいる。Fusobacteriumは嫌気性菌であり培養が非常に困難であったが、委託業者との連携により大量培養に成功した。今年度中に受け取る予定であったがCOVID19の影響により、実際の受け取りが次年度となってしまった。次年度より実際に投与研究を行う予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔内細菌検査の患者数の更なる増加のため他の医師や福岡大学と密に連携をとっていく。基礎研究については、大学院生、研究補助員と共に推進していく。
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Causes of Carryover |
Fusobacterium nucleatumの大量培養の発注を行っていたが、培養先との取引がCOVID19のため受け取りが遅延したため、次年度の支払いとなった。
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