2019 Fiscal Year Research-status Report
幹細胞ニッチの制御を目指したインテグリンペプチド療法の開発
Project/Area Number |
18K09576
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 直史 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (50432662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 寛也 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (20710651)
山城 圭介 岡山大学, 大学病院, 講師 (30581087)
高柴 正悟 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50226768)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インテグリン / 細胞外基質 / 歯周組織再生 / 幹細胞 / 微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
組織再生のためには,増殖因子と細胞外基質との協調した相互作用によって規定される幹細胞の微小環境(幹細胞ニッチ)の構築が必須である。我々は,幹細胞ニッチの制御能を有するインテグリンα3阻害ペプチド(α325)を用いて,α325/増殖因子含有ゲルによる創傷治癒・組織再生促進効果を本年度に調べた。 1)抜歯窩モデルにおける組織再生効果 再生骨量の定量性高いマウス抜歯窩モデル(Aoyagi et al, J Cell Biochem, 2018)を用いて,骨再生のためのα325の有効濃度を探索した。担体として,昨年度の検証結果から,既報(Nakamura et al, J Periodontol, 2019)に従いコラーゲンパウダー(CP)を用いた。CPはin vivo実験における操作性,滞留性は非常良好であったが,残留CPによる抜歯窩の治癒阻害が散見された。これはマウス抜歯窩の治癒速度がCPの吸収速度を上回るためと考えられた。 2)ラット骨欠損モデルにおける組織再生効果 上記Nakamuraらの方法に従ってラット骨欠損モデルを作製し,α325/増殖因子含有CPによる創傷治癒・組織再生促進効果を調べた。α325填入後8週において,α325はCPのみと比較して歯槽骨量を有意に増加し(1.31倍),それはFGF-2の効果(1.21倍)と同程度であった。また,α325とFGF-2を混合添加すると,さらに骨量は増加した(1.50倍)。すなわち,α325は創傷治癒・組織再生促進効果を有し,さらに増殖因子との併用が有効である可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初,再生骨量の定量性高いマウス抜歯窩モデルを用いて(ターゲットはMSC),骨再生のためのα325の有効濃度を決定し,さらにα325が誘導する骨再生メカニズムを調べる予定であったが,担体CPの残留による抜歯窩の治癒阻害が起きたため,このモデルでの検証を断念した。その後,ラット骨欠損モデルにおいて,種々の濃度のα325による歯周組織再生効果を調べた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,ラット骨欠損モデルのサンプルサイズの増加することによって,α325/増殖因子含有CPの有効性を立証する予定である。さらにα325が誘導する歯周組織再生の制御メカニズムを調べるために,マウスの歯周炎モデル(Porphyromonas gingivalis培養液に浸漬した絹糸を結紮)を用いた検証を予定している。α325もしくは増殖因子FGF-2やPDGF-BBをマイクロシリンジにて乳頭歯肉に注入し,骨量解析と組織学的解析によって組織再生効果とα325の制御メカニズムを調べる予定である。
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Causes of Carryover |
組織学的解析の実施について当初の見積額よりも安価に実施することができたが,次年度に同解析に費用を要することが判明しているため,当該費用へ支出する予定である。
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