2020 Fiscal Year Research-status Report
歯肉増殖症の病態解明~spock1による蓄積と分解抑制のシナジー効果の観点から
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18K09578
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 明子 九州大学, 歯学研究院, 助教 (70511319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 英紀 九州大学, 歯学研究院, 教授 (80208222)
岩下 未咲 九州大学, 歯学研究院, 助教 (80611326)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歯肉増殖症 / プロテオグリカン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,歯肉増殖症の発生・進展の機序を明らかにし,将来的な発症予防や治療法確立へ繋げることを目指すものである。spock1は近年発見された分子であり,細胞間,細胞と基質との相互作用に関与する。プロテアーゼ阻害作用を持ち,特にカテプシン-Lを強力に阻害する作用を有することが報告されているが,機能の大部分は未だ不明である。また,これまでにspock1と歯肉増殖症の関連や,他の口腔疾患との関連を報告している研究成果はなく,カテプシンに加え抑制分子である本分子に着目した点に新規性や学術的独自性がある。歯肉増殖症の発症機序を間接的なカテプシン活性の低下に求めるという創造性に富む研究計画である。spock1はプロテオグリカンの一種でもあることから,その発現亢進はカテプシン活性の低下に伴う基質分解能の低下に加え,基質の蓄積をも促進することで病変の確立に関与する可能性が考えられる。spock1によるdual effect(蓄積と分解抑制のシナジー)であるとの仮説に基づく斬新な発想に創造性がある。 これまでにSPOCK1過剰発現マウスでは歯肉増殖症様病変が惹起され、SLUG、vimentinの発現亢進、E-cadherinの発現抑制などの上皮間葉転換 (EMT; epithelial to mesenchymal transition)関連遺伝子の発現が変動するといった、歯肉増殖発生機序の一部を解明した。一方で、ヒト歯周組織切片を作製し、免疫染色などを実施し、歯肉増殖誘発薬剤服用群では、SPOCK1の発現が亢進することを明らかにし、ヒトにおける歯肉増殖症の発生進展メカニズムを解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画にそって、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
covid19流行の影響により、これまでに成果発表予定であった学会などが中止、もしくはweb開催になっているため、実施計画と若干異なる部分があるが、現時点で、研究の進行具合に特別な問題は生じておらず、今後も研究実施計画に準じて研究の遂行を目指したい。
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Causes of Carryover |
covid19世界的流行のため、発表を予定していた海外学会の中止、web開催となったため次年度使用額が生じた。結果の確認実験などに使用を予定している。
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Research Products
(4 results)