2019 Fiscal Year Research-status Report
抗菌的光線力学療法を用いた象牙質齲蝕の新たな殺菌法の開発と深在性齲蝕治療への応用
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18K09584
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
新海 航一 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (90147843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老原 隆 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (40287777)
川嶋 里貴 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 非常勤講師 (30779781)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 象牙質プレート / L. acidophilus / 光増感剤 / 半導体レーザー / Colony count / ATP assay / 抗菌的光線力学療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウシ抜去下顎前歯を用いて約3×3×1mmの象牙質プレートを作製し、プレートの表面をリン酸水溶液で処理し象牙細管を開口させた後、オートクレーブを用いて滅菌した。96マルチウェルプレートに象牙質プレートを静置し、吸光度0.3に調節したL. acidophilusの菌液を、象牙質プレート上に分注した。遠沈を行った後、12時間培養して感染象牙質プレートを完成した。半導体レーザーは、波長940nm(940laser)と波長650nm(650laser)を使用した。光増感剤は、Brilliant Blueの1%sPBS溶液(BB)とAcid Redの1%sPBS溶液(AR)を使用した。実験群は650laser、940laser、BB、AR、650laser-BB、650laser-AR、940laser-BB、940laser-AR、およびControl(無処理)の9群とした。処置終了後、象牙質プレートをsPBS溶液中に浸漬し、超音波発生機でL. acidophilusを剥離した。10倍まで段階希釈を行ってBHI寒天培地に塗沫した後、48時間培養してColony countを行った。また、ATP測定キットとLUMIPHOTOMETERを用いて各実験群応用直後のATP assayも測定した。 Colony countの結果では、controlと比較して650laser-BBは細菌数が有意に少なかったが、650laser-AR、940laser-BBおよび940laser-ARは、有意差を認めなかった。ATP assayの結果では、controlと比較してBBとAR以外の実験群は測定値が有意に小さかった。レーザー照射群は照射直後に有意な殺菌効果を示したが、48時間後のColony countでは細菌の著しい増加がみられた。一方、650laser-BBは48時間培養後も有意な殺菌効果を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は、aPDT応用後の象牙質面へのコンポジットレジンの接着強さを測定し、aPDT応用後の一重項活性酸素の残留が象牙質接着へ及ぼす影響を検討する予定であった。しかし、実際には、2018年度に実施した「L. acidophilusを用いた感染象牙質プレートに対するaPDTの殺菌効果」についてデータをまとめて論文を作成、国際誌に投稿することを優先した。その作業に時間が費やされたため、感染象牙質プレートに対するコンポジットレジンの接着強さ試験は実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、早めにaPDT応用後の象牙質プレートへのコンポジットレジンの接着強さ試験を次に示す方法で実施する予定である。 すなわち、ウシ歯を用いて平坦象牙質面を形成し、最も殺菌効果の高い aPDT(Brilliant Blueと650nmレーザーを組合せた方法)を象牙質面に応用する。なお、aPDT を応用しないものをコントロールとする。各種接着システム(エッチ&リンスシステムとセルフエッチシステム)を用いて象牙質平坦面を接着処理した後、フロアブルレジンを用いて接着試料を作製する。活性酸素の残留を考慮し抗酸化剤(アスコルビン酸等)を応用した試料についても検討する。硬組織自動精密切断機(アイソメット2000:既設)を用いて微小引張り接着試験用ビーム状試片を作製し、小型卓上試験機(EZTest 500N:既設)を用いて申請者らがこれまで実施してきた接着試験法(Shinkai K et al.:DMJ 2009)に順じて微小引張り接着試験を行い、接着直後の接着強さを測定する。なお、微小引張り接着試験用ビームの作製が困難な場合、剪断接着試験に変更する。実体顕微鏡(ライカEZ4D:既設)を用いた接着破壊様式の判定、走査型電子顕微鏡(TM4000Plus:既設)を用いた接着破断面の微細構造を観察する。aPDT 応用後の象牙質接着強さをコントロールと比較し、aPDT が象牙質接着に及ぼす影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
2019年度は化学発光測定装置(AccuFLEX Lumi400、\1,680,000)と卓上CO2 インキュベーター(VS-9000C、\540,000)を購入予定であったが、購入予定機器の値上がりにより両者を購入できないため、化学発光測定装置(\1,848,000)のみを購入した。次年度使用の\309,676は、次年度に予定している接着強さ試験の結果をまとめた研究成果を公表するための学会発表の旅費や論文作成費の補填に使用したい。
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Research Products
(2 results)