2018 Fiscal Year Research-status Report
歯髄治癒過程におけるマクロファージ・歯髄幹細胞・再生神経のクロストークの解明
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18K09588
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
武藤 徳子 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (40510433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 信之 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (20163610)
大島 勇人 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70251824)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歯髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞外シグナル(組織微小環境)に応答してマクロファージが、組織の恒常性維持や炎症・免疫反応に寄与することが知られている。マクロファージにはM1(炎症性)とM2(抗炎症性)の二つの表現型(極性)があり、創傷治癒過程において、それぞれが炎症の惹起と消退に関わる。申請者らの研究グループは、歯の損傷後の歯髄修復過程において、マクロファージによる変性細胞の除去に引き続き、歯髄幹細胞/前駆細胞の増殖と神経線維の密度の増加が起こることを明らかにした。このことは、マクロファージの活性化、歯髄幹細胞/前駆細胞の増殖、再生神経線維間のクロストークが歯髄修復過程に重要な役割を担っていること を示唆している。本研究は、外的侵襲後の歯髄修復過程におけるマクロファージの活性化、歯髄幹細胞/前駆細胞の増殖・分化、再生神経線維間のクロストークを解明し、M2マクロファージの活性化と歯髄神経再生促進による新規歯髄再生療法を開発する基盤となる知見を提供することを目的としている。 本年度は、8週齢ラット(Wistar)臼歯近心隣接面にグルーブ状に窩洞を形成し、実験的に歯の損傷を誘導した歯髄組織の治癒過程に準じた発現を確認するため経時的(1、3,5,7日)に動物を固定し、Ki67免疫染色にて術後歯髄治癒過程における細胞増殖活性、さらに窩洞形成に伴う、象牙芽細胞の動態について抗nestin抗体を用い、神経線維、M1・M2マクロファージの動態は、PGP9.5、ED1、ED2, OX6抗体 を用いて、免疫組織化学的に解析した。結果として、歯髄治癒過程においては、ED1陽性細胞は、窩洞直下の歯冠部歯髄組織に発現が認められ、ED2, OX6陽性細胞は歯冠部歯髄組織に確認でき、PGP9.5陽性所見は、歯根部歯髄組織中にその発現を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、8週齢ラット(Wistar)臼歯近心隣接面にグルーブ状に窩洞を形成し、実験的に歯の損傷を誘導した歯髄組織の治癒過程に準じた発現を確認するため経時的(1、3,5,7日)に動物を固定し、Ki67免疫染色にて術後歯髄治癒過程における細胞増殖活性、さらに窩洞形成に伴う、象牙芽細胞の動態について抗nestin抗体を用い、神経線維、M1・M2マクロファージの動態は、PGP9.5、ED1、ED2, OX6抗体 を用いて、免疫組織化学的に解析した。研究協力者として、石井研究室大学院生(許多)等が加わっている。予定していたRT-PCR法を用いた解析について、実験試料は準備されており、その実施について問題は発生していない。
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Strategy for Future Research Activity |
歯の損傷を誘導した歯髄組織において、RT-PCR法にてDspp、Opn、硬組織形成細胞マーカー(ALP)、Ⅰ型コラーゲン(col 1a1)、細胞増殖マーカー(Cyclin D1)にて検索する。 さらに、歯の損傷後の歯髄治癒過程における歯髄幹細胞とM2マクロファージの相互関係の解析を行う。申請者らが確立した胎生期ラベリング法では、DNA合成期に核内に取り込まれるBrdUを妊娠ラット腹腔内に毎日1回(150 mg/kg)5日間(胎生17~21日)投与した後、2週間以上置くと歯髄幹細胞が強くラベルされる。胎生期BrdUラベリング法で歯髄幹細胞/前駆細胞をラベルしたラットを用いて実験的歯の損傷モデルとして、8週齢ラット(Wistar)臼歯近心隣接面にグルーブ状に窩洞を形成し、ラット臼歯歯髄治癒過程におけるBrdUラベル細胞と歯髄内細胞増殖活性・アポトーシスおよびM1、M2マクロファージの動態、神経の再生との関係を免疫組織化学にて検索する。経時的(1日~2週)に動物を固定し、通法通りパラフィン切片を作製し、Ki67免疫染色、TUNEL染色を行う。さらに、BrdU・Ki67二重染色、BrdU・TUNEL二重染色を施し、歯髄幹細胞/前駆細胞の増殖能・アポトーシスを検証する。二重染色については、既に技法は確立している。神経線維、M1・M2マクロファージの動態は、PGP9.5、ED1、ED2、OX6抗体を用いて、さらに歯髄幹細胞分泌シグナルsSiglec-9/MCP-1の発現パターンを免疫組織化学にて解析する。研究協力者として、石井研究室大学院生(許多)等が加わる。
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Causes of Carryover |
本年度購入予定の試薬の納品が遅れたため、次年度使用額となった。なお、それに伴う大幅な研究計画の遅延はなく、使用計画についても変更はない。
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Research Products
(3 results)