2019 Fiscal Year Research-status Report
質量イメージングによるAGEs/RAGEシグナルに関連した歯髄内石灰化機構の解明
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18K09596
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清水 真人 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (70380277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大木 進野 北陸先端科学技術大学院大学, ナノマテリアルテクノロジーセンター, 教授 (70250420)
三浦 治郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (70437383)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 象牙質 / 糖化最終産物 / 質量イメージング / インソース分解質量分析法 / ISD / MALDI-TOF mass / コラーゲン / RAGE |
Outline of Annual Research Achievements |
象牙質内の糖化最終産物(AGEs)の分布状態を知るため、質量イメージング分析法の応用を行ってきた。糖尿病モデルラットの臼歯の試料において、従来のホルムアルデヒドを用いた固定処置を施した切片試料ではMALDI-TOF massにおいて励起レーザー強度を強めても質量ピークシグナル弱くノイズレベルに近いものしか検出できなかった。固定を行わず凍結切片の作製をOCT-コンパウンドを用いた結果、糖尿病モデルラットの象牙質から特徴的な質量ピークシグナルを得ることができた。MALDI-TOF mass 測定にあたっては、同時にマトリックス試薬の検討も行った。その結果2,5-DHBが良好なシグナルを与えることがわかった。2.5-DHBはレーザー照射によってペプチド分子内の開裂反応を誘起することが知られている。この現象はin-source decay(ISD)として知られている。アミノ酸主鎖におけるISDの解析研究は進んでおり、メカニズムも明らかにされてきておりタンパク質のアミノ酸配列決定に応用がなされている。本研究の試料においても象牙質コラーゲンに共有結合したAGEsが、レーザー照射により誘起されたISDによって特定分子の分子量を持つ断片のピークをもたらしたと思われる。現在AGEs-アミノ酸複合体の開裂反応のメカニズムに関して、質量ピークを解析し開裂位置の特定を進めている。またAGEsと結合し種々の分子シグナルを誘起すると考えられているRAGE(AGEs受容体)をラット肺より精製を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AGEsの象牙質内分布を調べるうえでイメージング質量分析法に適さないとされていた硬組織において試料作製法の検討を行い、マトリックス、MALDI-TOF massの測定条件検討などより、糖尿病ラットの象牙質特異的な質量シグナルを得ることができた。質量ピークからの解離分子の同定、ラットのRAGEの精製も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ISDにより検出された糖尿病ラット特異的なピークとAGEs分子とを関連付け、その分布状態から糖化が反応のパターンと糖化がもたらす歯髄内の石灰化現象の解析、ならびにRAGEシグナルとの関係を解析していく。
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Causes of Carryover |
イメージング質量分析やRAGE精製は順調に進行しており、糖尿病モデルラットの購入や試薬、材料の購入も必要最小限でとどまっている。今後のRAGE、AGEsの相互作用の解析に助成金を活用していきたい。
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Research Products
(3 results)