2019 Fiscal Year Research-status Report
MTAセメント覆髄後に使用する材料選択のエビデンス確立と耐強アルカリ樹脂材料開発
Project/Area Number |
18K09597
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小河 達之 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助手 (10346421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 久美子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (90631581)
長岡 紀幸 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (70304326)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 覆髄材 / 歯内療法 / 走査電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体親和性が高い覆髄材として,MTA(Mineral Trioxide Aggregate(ミネラル三酸化物))が臨床で広く使われており,その予後がよいことが報告されている。しかし,MTAセメントは,他の歯科材料と異なり強アルカリ性であり,そのアルカリ性が周囲の修復材料にどのような影響を及ぼすのかわかっていない。また,MTAセメントを用いた覆髄後に適する修復材料に関しては,MTAセメントと修復材の接着強度を評価したものがあるが,長期の耐久性も考慮して報告されているものはほとんどなく,MTAセメント修復後の材料選択はコンセンサスを得られていない。そこで,本研究課題は,MTAセメント覆髄後に使用できる耐アルカリ性に優れた材料に関するエビデンスの確立と,その知見を活かしたMTA覆髄後に適切な新規の耐アルカリ性樹脂材料の開発を行うものである。本年度は、MTAセメントと接している部分の修復材料の状態について昨年度から長期水中保管を行っているサンプルの界面観察を行い評価した。修復材料としては、グラスアイオノマーセメント、レジン添加型グラスアイオノマーセメント、ボンディング材とコンポジットレジンを用いた。グラスアイオノマーセメントはほとんど接着が得られておらず、コンポジットレジンは、コンポジットレジンの種類により劣化の程度が異なっていた。本成果はIADRにて発表を行った。また、ボンディング材は、MTAセメントに深く侵入し、化学反応を起こすのに対し、セルフアドヒーシブ型セメントでは化学反応が低く良好な接着界面が得られていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通りに進捗している。研究成果については、2019年のIADRで発表をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通りに進めるとともに、すでに得られた知見から、引き続き耐アルカリ性に優れた材料の開発に着手していく。 また、接着材の試作を検討していたが、セメント材のほうが良好な結果が得られることがわかり、計画の接着材の試作に加えセメント材での試作も並行して行うこととした。
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Causes of Carryover |
実験計画の変更に伴い、予定していた物品費等の購入費用に残額が生じた。 次年度は、変更した実験計画に基づき、必要な物品等の購入を行う予定である。
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