2019 Fiscal Year Research-status Report
Inflamm-agingを中心とした歯周病,サルコペニア,糖尿病の病態解明
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18K09598
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小林 寛也 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (20710651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 直史 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (50432662)
山城 圭介 岡山大学, 大学病院, 講師 (30581087)
高柴 正悟 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50226768)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 炎症性老化 / サルコペニア / 慢性炎症 / 歯周炎 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
サルコペニア予防は高齢者の要介護度を低下させるために重要な課題である。近年,炎症性老化の概念が提唱され,全身の慢性炎症が骨格筋の筋衛星細胞の分化能を障害し,サルコペニアを発症することが示唆されている。歯周病は口腔常在細菌の感染で生じる慢性炎症性疾患であり,加齢に伴う免疫機能低下により進行する。歯周炎症によって産生される炎症性サイトカインは,全身の慢性炎症を惹起し,肺炎や糖尿病などの悪化に繋がることが明らかになっている。また,サルコペニアによる骨格筋量の減少がインスリン抵抗性に繋がることから,歯周病由来の慢性炎症はサルコペニアの進展,糖尿病の悪化と負のスパイラルを形成している可能性がある。 そこで本研究の目的は,歯周病原細菌の感染により惹起される慢性炎症が,筋組織の治癒過程,インスリン抵抗性に及ぼす影響とその制御メカニズムの一端を,老齢マウスを用いた歯周炎モデルにおいて明らかにすることである。平成31年度に行った研究成果は以下の通りである。 ①老齢歯周炎モデルマウスの安定的作製を実現した。 ②モデルマウスから血清を採取し,Bio-Plexマルチプレックスによって炎症性サイトカインを網羅的に解析し,歯周炎や糖尿病の有無での発現パターンを比較した。その結果,いくつかのサイトカインの挙動に変化が生じていることを確認した。 今後は,各種組織(筋,血管,骨,関節など)の再生・治癒に炎症性サイトカインが与える影響を免疫学的および組織学的手法を用いて調べていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度はモデルマウスの作製が不安定でありサンプル回収に時間を要したが,31年度は比較的安定してモデルマウスを作製することができた。 研究に必要なサンプルを十分回収できているため,今後各種アッセイを行うのに支障はないところまで遅れを取り戻せており,概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はまず,網羅的に解析した炎症性サイトカインの内,老齢歯周炎モデルマウスで上昇が見られたいくつかの項目(IL-6,IL-1betaなど)について,阻害剤を用いて各種組織(筋,血管,骨,関節など)の再生・治癒に与える影響を免疫学的および組織学的手法を用いて調べていく。 また,日本歯周病学会に参加し,得られた知見について研究発表を行う。
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Causes of Carryover |
消耗品等の購入が安価に抑えられたため僅かではあるが次年度使用が生じた。当該予算は、次年度実施する研究発表の旅費などに充当する予定である。
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