2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K09605
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
伊藤 修一 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (50382495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯嶋 雅弘 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (20305915)
斎藤 隆史 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40265070)
齊藤 正人 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (50337036)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 接着性モノマー / コーティング材 / 長期耐久性 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで我々は、接着性モノマー4-METの末端にカルシウムを結合させた、接着性モノマーの開発を行い、それらの象牙質再石灰化誘導の評価や試作ボンディング材の開発を行ってきた。また、その後、より強固な象牙質接着の獲得を目指してMDP-Caの合成、開発を行ってきた。そこで、MDP-Caと4-MET-Caを混在させた、シーリングコート材を試作し、象牙質封鎖性についての検討を行った。ラットの大臼歯咬合面に窩洞(深さ1mm?)を形成し、それぞれのコーティング剤をメーカー指示に従い塗布した。1週間後、ラットを屠殺し、コーティングした大臼歯を摘出した。大臼歯は組織標本を作製し、歯髄組織の炎症反応の波及具合を観察した。また、象牙質を露出させた抜去歯牙に、コーティング剤を用いて歯面処理した後、コンポジットレジンを積層した。接着面が1 mm×1 mmになるようマイクロテンサイル試験用試料の調製を行った。試料は蒸留水中に浸漬した状態で24時間保管し、微小引張試験を行った。ラットの切削歯牙の観察では、コーティング処理をしていない試料は、冠部から根尖歯髄まで炎症反応を示す組織像が観察された。一方、コーティング剤を塗布したすべての試料において、炎症反応が冠部歯髄に限局している組織像が観察された。微小引張試験において、試作コーティング材は、他のコーティング材と比較して、有意に高い初期接着性能を示した。接着性モノマーのカルシウム塩はコーティング材に配合することで、機械的物性に影響を与え、歯質との接着性能が向上したと考えられた。また、試作コーティング材は、従来のコーティング材と比較してより確実に外来刺激を遮断する可能性が示唆された。試作コーティング材、はコーティング剤として有用であり、高い耐久性が期待されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進展していると考えている。接着性モノマーの前躯体の作製が一部遅れており、次年度は、この部分に時間を割いて進めて参りたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、接着性モノマーを含有したコーティング材が、長期耐久性の向上に寄与することが判ったため、象牙質コラーゲンに与える影響について実験を行う予定である。脱灰コラーゲンに対する相互作用や石灰化に与える影響について研究を進めていく。これらを明らかにすることにより、根面う蝕の進行抑制や、根面を守るコーティング材の開発につなげていく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)接着性モノマーの前駆体の作製が思ったように進まなかったために計画の金額で差が生じた。
(使用計画) 本年度は、試作したコーティングを用いて、脱灰コラーゲンに対する、相互作用や石灰化に与える影響について研究を遂行する予定である。そのためには、プラスチック器具やガラス器具などの消耗品が必要となる。また得られた研究成果について国内・海外で発表するために旅費が必要である。また、これらを成果を投稿するために校正量や投稿料が必要である。
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Research Products
(6 results)