2018 Fiscal Year Research-status Report
Rothia mucilaginosa感染症の病因解明と感染コントロール法の確立
Project/Area Number |
18K09613
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
前田 博史 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (00274001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 則正 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (30454565)
高柴 正悟 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50226768)
曽我 賢彦 岡山大学, 大学病院, 准教授 (70509489)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 病巣感染 / 易感染性宿主 / 感染根管 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Rothia mucilaginosaによる全身感染症(病巣感染)の感染巣として、これまで注意が払われていない感染根管内の同菌の分布状況を調べ、根管内感染巣除去の必要性を広く社会に周知するとともに、口腔細菌叢中のR. mucilaginosaを標的とした抗菌物質の開発を目的とする。 2018年度はR. mucilaginosa検出にあたり、定量的検出を可能とするために、リアルタイムPCR法を確立した。すなわち、専用のソフトウエアを用い、16S rRNA遺伝子を標的として、R. mucilaginosaに特異的なプライマーを4組設計した。これらプライマーの、特異性、感度、そして定量性を調べ、臨床サンプルに応用するものを選択した。また、大阪歯科大学倫理委員会の承認を得て、感染根管内の細菌サンプル採取を開始した。 2018年度においては、51の感染根管内細菌サンプルを採取することができた。これらの細菌サンプルは、DNA抽出を行った後、凍結保存した。 次年度以降は凍結した細菌DNAサンプルを使用して、総菌数、他のRothia属の検出、菌叢解析等を実施する計画であるが、まずは定性PCR法によって、R. mucilaginosaの検出を行った。R. mucilaginosaの検出頻度は、これまでのところ31.4%であり、比較的高頻度に日本人の感染根管内に分布していることが明らかとなった。打診、自発痛、エックス線写真上での根尖部透過像の大きさ等の臨床所見とR. mucilaginosa感染との間に統計学的な関連性はみられなかったが、白血病患者などの易感染性宿主では根管内のR. mucilaginosaが全身感染症を起こすリスクがあることが示唆された。今後、被験者数を増やして解析を継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床サンプル(根管内細菌サンプル)の採取数が当初の計画に比し、やや少ない。 根管治療が行われていない、初発の根尖性歯周炎患者の来院数が予測していたよりも少なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、定性的検出に加え、定量検出を実施し、総菌数に対して、どの程度の数のR. mucilaginosaが根管内に分布しているのか明らかにする。また、本菌の病原因子と病原性の抑制、そして増殖抑制法に関しての研究を推進する。 臨床サンプル(根管内細菌サンプル)数がやや不足しているが、臨床サンプルの採取期間を研究期間の後半まで延長することによって対応する。
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Causes of Carryover |
臨床サンプル(根管内細菌サンプル)の採取数が予定を若干下回った。このため、当初の計画に比し、46,920円が未執行となった。臨床サンプルは2019年度以降も採取を継続する予定であり、未執行の予算は2019年度についても同じ目的(臨床サンプルの採取、DNA抽出、ならびにPCRによるR. mucilaginosaの検出)のために使用する計画である。
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Research Products
(1 results)