2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K09623
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
鷲尾 薫 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (50514486)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インプラント / 細胞シート / 歯周組織新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では天然歯周囲に見られる歯周組織様構造および機能をインプラント体周囲に構築させインプラント周囲炎の発症を抑制させる治療法の開発の検討を行っている。これまでの検討で表面加工したチタンインプラント体周囲に部分的に歯周組織様構造を構築可能であることを示してきた。今年度はさらに支台部(アバットメント)を装着させた状態で口腔内に長期間保持させることを目的として検討を行った。インプラント体へ咬合力がかかることで新生した線維性組織に弾性を持たせ、かつ、新生セメント質様組織との結合を強固にさせることを狙った。具体的には以下の通りである。作製した表面加工チタンインプラント体へ歯根膜細胞シートを付着させイヌ顎骨欠損部へ移植し、約3か月間の固定期間を設け歯周組織様組織の新生を促した。その後、顎骨内へ埋入したインプラント体にアバットメントを装着し、食事時の咬合力がわずかにかかる状態にして経過観察を行った。アバットメントの動揺度を測定器にて経時的に計測し天然歯の動揺度と比較を行うことで、インプラント体が結合組織によってどの程度保定されているかを確認した。周囲組織は樹脂包埋後研磨標本作製し、顕微鏡下にて観察した。本年度は6本の歯根膜付きインプラントを埋入し、そのうち3本はアバットメント装着が可能であり、装着後4か月以上口腔内に保定可能であった。動揺度は天然歯よりやや大きいものの、一定数値を保って口腔内に保持された。アバットメント装着後4か月経過した1本について新生結合組織を観察したところ、インプラント体周囲に結合組織が新生されていた。歯根膜様線維性組織は部分的に新生されていたが、インプラント体表面のセメント質様石灰化組織の形成は薄く、新生歯根膜様組織の埋入はほとんどされていなかった。今後、セメント質様組織がインプラント体表面で効率的に新生されるように追加検討が必要と考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたチタン製インプラント体上に歯周組織様構造を構築させ、かつ天然歯周囲組織様の機能を持たせるために負荷をかける検討をイヌ顎骨モデルにて行うことができた。本検討を実際に行う前に至適形態の検討や作製を行っており、さらに動物を用いた検討は開始から終了まで1年ほどかかるため2019年度も継続的に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度に実施した実験がまだ終了していないため2019年度も継続的に実施する。またセメント質誘導のための培養条件の検討についても開始する予定である。
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Causes of Carryover |
組織標本作製を予定していたが、予定よりも移植できた検体数が少なかったため次年度使用額が生じた。次年度は本年度より多い検体数の組織標本作製を予定している。
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