2018 Fiscal Year Research-status Report
インプラントの新生骨が短期間で形成可能な生体骨アパタイトコーティング法の基礎研究
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18K09624
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中田 浩史 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (10349970)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リン酸カルシウム / インプラントコーティング / 動物実験 / Synthetic bone mineral / インプラント / In-vivo / 引抜き試験 / Micro-CT |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科インプラント治療は歯の喪失により咀嚼機能の回復や審美性の改善に対して有効な治療法である。インプラントに関する研究はエッチング、コーティングおよびブラストの表面処理法による骨結合が多く報告されている。インプラント治療の術式である2回法は確実な骨結合を獲得する為に、埋入後3-6ヵ月の治癒期間を必要とする。また抜歯や骨移植が必要な場合には、さらに長期な治癒期間が必要となる。高本らはインプラント治療を経験する患者に対するアンケート調査で、76%の患者は長い治癒期間に不満があることを報告している。インプラント治療の成否は、インプラント体埋入後に形成される新生骨がインプラント周囲への結合により骨結合するか否かにより大きな影響を受ける。しかし、高齢者のインプラント治療または骨粗鬆症患者には十分な海綿骨の支持が得られず骨密度や骨質の低下からインプラント治療の適否を慎重に検討する必要性がある。よって、本研究はこれまで通常に使用されてきたβ-TCPや自化骨およびリン酸カルシウムに変わる新たな材料が必要と考える。 そこで、本研究は生体微量金属元素のCO32-,Mg2+, Zn2+,F- をリン酸カルシウムに配合した生体骨アパタイト(Synthetic bone mineral: SBM)をインプラントにコーティングする表面処理法を開発し、埋入後に形成される早期な新生骨形成と骨質向上を明らかにする。 実験は9週齡ラットに全身麻酔を行い、左側大腿骨遠位端から10mmの位置に剃毛と消毒後、切開を行い、骨膜を剥離し骨面を露出する。埋入窩は大腿骨に直径1.2mmの孔の形成し、インプラントを埋入する。ラットは埋入後2週および4週後に大腿骨を摘出する。摘出した骨はインプラント引き抜き試験、骨密度測定、Micro-CT撮影および組織学的観察によりSBMによる骨質向上の有用性を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は生体微量金属元素のCO32-,Mg2+, Zn2+,F- をリン酸カルシウムに配合した生体骨アパタイト(Synthetic bone mineral: SBM)をインプラントにコーティングする表面処理法を開発し、埋入後に形成される早期な新生骨形成と骨質向上を明らかにする。そこで、申請者は従来表面処理で使用するリン酸カルシウムと比較して生体骨アパタイトで早期な骨形成と骨質向上を解明する事を本研究の目的とする。 本年度の進捗状況として、1)SBMの製作として、リン酸カルシウム: 100gと塩化マグネシウム: 10gおよび塩化亜鉛: 10gを1000mlの超純水(フッ化ナトリウム: 100gおよび炭酸水素カリウム: 100g を混和)を95℃にて12時間混和させた後に加水分解により生成を行った。2)SBMコーティングとして、Ti ディスク上へコーティング処置を行い、その状態を電子顕微鏡観察から結晶の存在について確認を行った。また、その結晶性についてはフーリエ変換赤外分光光度計(Fourier Transform Infrared Spectroscopy: FTIR)によりミネラルイオンのピークを確認することができた。よって、実際に動物実験を行うにあたりTiインプラントへSBMコーティング問題なく行えることを確認することができた。 そこで、本研究は動物実験を遂行するにあたり、日本大学松戸歯学部動物実験委員会にて審査、学部長の承認を得られたので、日本大学動物実験運営内規等関連法規を遵守の上で令和元年6月より動物実験を開始する予定にしている。そのため埋入用Ti製インプラントの製造を業者に依頼し、完成後にTiインプラントを直径110μmのブラスト粉末による表面処理を行った後に、埋入用インプラントにSBMコーティングを5月中旬より開始し、6月より動物実験を行う予定にしている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はインプラントに3種類の表面処理群(①表面処理無し群: 12頭、②リン酸カルシウムコーティング群: 12頭、③SBMコーティング群: 12頭に分けて実験を行う。 インプラントのサイズは直径1.2mm、高さ4.0mmの円柱とし、上端から0.5mmの位置に引張試験用の通し穴を作成したものする。全てのインプラントは直径110μmのブラスト粉末によるブラスト処理と超音波洗浄を行った後に、オートクレーブで滅菌処理を行う。その中の12本はコントロール群とする。別の 12 本はリン酸カルシウムコーティング処理群とし、残りの12 本はSBMコーティング群とする。 実験方法として、実験動物は9週齢時に全身麻酔下(塩酸メデトミジン0.15mg/kg, ミダゾラム2.0 mg/kg, 酒石酸ブトルファノール2.5mg/kgの混合麻酔薬; 腹腔内投与)において、左側大腿骨遠位端から10mmの位置に、メスで皮膚を約10mm切開し、筋肉を鈍的に剥離し骨膜を剥離させ骨面を露出させる。インプラント体の埋入窩は、大腿骨の長軸に対し垂直に注水下で直径約1.2mm、深さ約4.0mmの埋入窩を直径1.2mmラウンドバーにて、左側大腿骨遠位端から10mmの位置に1カ所形成し、1本のインプラント体を埋入し縫合する。術後は消毒を行い、苦痛を排除するため鎮痛剤は術後3日間酒石酸ブトルファノール0.01mg/kgを筋注投与する。 インプラント体埋入後2および4週後に各群6頭ずつ炭酸ガスを用いて安楽死させ、左側大腿骨を摘出し試料とする。試料はインプラント体の引張試験、CT撮像および病理組織学的観察によりオッセオインテグレーションの評価を行う。なお、安楽死1週前にCalcein 20 mg/kg、3日前にカルセインブルー 30mg/kgを腹腔内投与し、インプラント体周囲の新生骨において蛍光生体染色での評価を行う。
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