2018 Fiscal Year Research-status Report
アメロゲニン-TGFβ複合体を用いた歯周組織再生型インプラント開発の基礎研究
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18K09627
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
山越 康雄 鶴見大学, 歯学部, 教授 (20182470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 竜司 鶴見大学, 歯学部, 学内講師 (20410053)
唐木田 丈夫 鶴見大学, 歯学部, 講師 (40367305)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インプラント / チタン / ジルコニア / アメロゲニン / エナメルタンパク / エムドゲイン / 歯根膜細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周組織再生療法で用いられているエムドゲインは、ブタから粗抽出した幼若エナメルタンパク質である。その主成分はアメロゲニン(Amel)であるが、中には生理活性物質であるトランスフォーミング成長因子ベータ(TGF-β)も含まれており、歯周組織再生に何らかの役割を担っていると考えられていた。申請者のグループは、TGF-βはエナメル質形成過程において、アメロゲニン(Amel)と結合することで活性が維持されることを見出した。本研究は、エムドゲインよりもさらに純度が高いAmel-TGFβ複合体を開発し、それを歯根膜細胞が接着したヒドロキシアパタイト・コーティング・チタンインプラント(Ti) およびヒドロキシアパタイト・コーティング・ジルコニアインプラント(Zr)表面に添加し、Ti およびZr表面-硬組織(セメント質)-軟組織(歯根膜)-硬組織(歯槽骨)の組織複合体形成が誘導されるかを解析し、歯周組織再生型インプラント体の開発を目指した。 本年度は、ブタ形成期エナメル質から2種類の主要アメロゲニン(水溶性(P103型)および不溶性(P148型))を分離精製し、リコンビナントTGF-β1を結合させてP103型およびP148型Amel-TGFβを作成し、電気泳動およびウェスタンブロットを行って精製度を確認したところ、両Amel-TGFβ共に98%以上の精製度を示した。さらにヒト歯根膜由来細胞に対するアルカリホスファターゼ活性測定を行い、活性の高いAmel-TGFβであることが確認ができた。次に実際に細胞に添加した後で出来るだけ長く活性が維持できるようにアルギン酸プロピレングリコール(PGA)に混合したAmel-TGFβを作製するためにPGAの至適濃度を決定することを試み、現在までにいくつかの候補となる濃度が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はまず最初に歯周組織再生実験のために歯根膜組織から分離した細胞のクローン化への成功となる技術基盤を確立できた。このことは本研究課題のゴールに辿り着くために用いなくてはならない歯根膜細胞のクローン化への技術応用が可能となり、安定した歯根膜細胞を用いてインプラントに結合させた歯根膜細胞から石灰化誘導を促進する研究に期待が得られた。また、ブタ粗抽出物からのアメロゲニンの分離精製は、研究代表者のグループの技術的優位を活かしたものであるが、大量精製できるシステムがないために必要量のアメロゲニンを精製することに時間を要した。しかしながら、Amel-TGFβ複合体の作製は順調に進んでおり、全体的にはおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は①最適なAmel-TGFβ-PGA複合体を作製し、歯根膜細胞(HPDL細胞)を用いた安定した研究が行えるようにすること、②HPDL細胞よりⅠ型およびⅡ型TGF-β受容体(TGFBR1およびTGFBR2)を抽出し、時間分解蛍光共鳴エネルギー転移法を用いることでAmel-TGFβのシグナル伝達効果を調べること、③歯根膜細胞とAmel-TGFβを用いたTiおよびZrディスク表面への石灰化組織の誘導実験および移植実験を実践するつもりでいる。
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Research Products
(7 results)