2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K09629
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
牧田 佳真 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (30454573)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 分子カプセル / ヘミクリプトファン / シクロトリベラトリレン |
Outline of Annual Research Achievements |
ヨード造影剤は不安定な炭素―ヨウ素結合を有する小分子を主成分としており、一定条件下で炭素―ヨウ素結合が解離し、わずかにヨウ化物イオンを放出する ことが知られている。また、血管造影を行うには多量のヨード造影剤を血中に投与する必要がある。そのため、ヨード過敏症の患者にヨード造影剤を投与するの は禁忌となっている。そこで本研究では、炭素―ヨウ素結合を複数導入した分子サイズのカプセルを合成する。単位分子あたりのヨウ素含有量の増加と、炭素―ヨウ素 結合をカプセル内に被覆した新規ヨード内包分子カプセルの合成を行う。この分子カプセル特有の性質を明らかにすることで、炭素―ヨウ素結合の解離を抑えた次世代のヨード造影剤の開発を目的としている。 これまで、新規ヨード内包分子カプセルを合成するためにお椀型のホスト分子シクロトリベラトリレンと配位子を共有結合のリンカーで連結した分子カプセル、ヘミクリプトファンに着目してきた。本年度は、トリエチレングリコール鎖をリンカーとし末端にキノリノールを有する新たな配位子を合成した。新規配位子は亜鉛と 1:1の錯体を形成することをNMRおよび紫外可視吸収スペクトル及びMALDI-TOF-MSにより明らかにした。また、亜鉛錯体はヘミクリプトファン構造を取り、内孔を有すること、また、配位した亜鉛は内孔内を移動していることが明らかとなった。以上のことから配位子と亜鉛を配位させるだけで、ヘミクリプトファンを容易に生成させることが明らかとなった。また、配位子は各種アルカリ金属とも1:1の錯体を形成した。さらに、亜鉛錯体にセシウムやルビシウムを加えると、セシウムやルビシウムが亜鉛錯体の内孔に入る様子がNMRより観測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、トリエチレングリコール鎖をリンカーとし末端にキノリノールを有する配位子から新たな分子カプセルを合成したが、本年度の目標としていたヨード内包分子カプセルに至っていないので、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、合成した分子カプセル型亜鉛錯体にヨードホルムを内包させることで、ヨード内包分子カプセルを合成する。また、ヨウ素化ドデカボレートと呼ばれるボロンクラスターを内包させることで、高いヨウ素含有率を有する分子カプセルの合成も進めていく。イオパミロンをシクロトリベラトリレンを用いて分子カプセル化したヨード内包分子カプセルについても検討していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、実験に必要な物品の供給が遅れたこと、当該年度に予定していた学会に参加しなかったため次年度使用額が生じた。それらは次年度の物品費に充てる。
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