2020 Fiscal Year Research-status Report
The Effect of Composition Distribution in Complex-oxide Filler on Flexural Strength of Oxide/Resin Composites
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18K09631
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Research Institution | Tsuruoka National College of Technology |
Principal Investigator |
小寺 喬之 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80456433)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歯冠 / レジン歯 / フィラー / 微粒子 / ナノ構造 / 曲げ強度 / 歯科材料 / 微構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、複合酸化物フィラーの微構造の観点から人工歯冠における曲げ強度向上の指針の確立を目指すものである。樹脂系歯冠では、前歯よりも奥の歯に必要な200MPa以上の曲げ強度が実現できていないことが課題である。本研究の目的は、複合酸化物粒子内における酸化物の分散状態に着目し、分散状態が複合材料の曲げ強度に及ぼす影響を明らかにして課題解決し、再現性良く300MPaの曲げ強度を実現することである。 本研究では、複合酸化物フィラー/樹脂複合材料の曲げ強度を向上させると共に再現性よく曲げ強度を分析するために、樹脂へのフィラー含有量をできるだけ大きくすることが必要で、単分散に近い原料フィラーが必要である。そこで、フィラーの出発原料となる液滴の発生装置を試作し、フィラーの合成試験に用いた。合成試験では、複合酸化物粒子中の酸化物の分散状態について分散状態を制御する技術の研究を実施し、原料の組み合わせで選択的に分散状態を変化できることがわかった。分散状態と複合材料の曲げ強度の関係を調べるために、分散状態の異なるフィラーを用いた複合材料を作製し曲げ強度を調べた。複合酸化物フィラーの化学組成は、非晶質二酸化ケイ素とイットリア安定型二酸化ジルコニウム(結晶)の複合組成とした。二酸化ジルコニウム粒子表面に二酸化ケイ素粒子が複合したフィラーを用いた複合材料の曲げ強度が最も優れており、250MPaの曲げ強度を実現できた。これは、フィラー同士の接触面が非晶質の二酸化ケイ素粒子であり、二酸化ジルコニウム粒子同士が接触している場合に比較して応力集中が緩和されたためであると考えられる。 また、フィラーの化学組成と曲げ強度の関係、ならびに、粒径分布とフィラー含有量の関係を調べるために、化学組成あるいは粒径分布が異なるフィラーを調製し、粒子特性のデータを取得した。今後、材料特性について調べる計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、複合酸化物フィラーの微構造の観点から人工歯冠における曲げ強度向上の指針の確立を目指すものであり、複合酸化物粒子内における酸化物の分散状態に着目し、分散状態が複合材料の曲げ強度に及ぼす影響を明らかにして、300MPaの曲げ強度を実現することを目的としている。 平成30年度は、次年度以降に酸化物分散状態の違いが複合酸化物フィラー/樹脂複合材料の曲げ強度に及ぼす影響を解明して目的を達成するために、原料液滴発生装置の試作および複合酸化物粒子中の酸化物分散状態を制御する技術に関する研究を実施した。試作した原料液滴発生装置は、目的の粒径分布でフィラーが得られることを確認した。また、フィラー合成条件の違いによる酸化物分散状態への影響を明らかにでき、分散状態の異なるフィラーの合成技術基盤を確立できた。 令和元年度は、酸化物分散状態の違いが複合酸化物フィラー/樹脂複合材料の曲げ強度に及ぼす影響を明らかにするために、作製した複合材料の曲げ強度に関する研究を実施した。その結果、二酸化ジルコニウム粒子表面に二酸化ケイ素粒子が複合した粒子をフィラーに用いた場合、最も高い250MPaの曲げ強度が得られた。これは、応力集中の緩和の効果であると考えられる。また、研究の目的を達成するための核となるこれまで不明であった分散状態と曲げ強度の関係について重要な知見が得られた。 令和2年度は、フィラーの化学組成と粒径分布が曲げ強度に及ぼす影響を調べ、前年度までの成果と合わせて、曲げ強度向上の開発指針を明らかにする予定であった。しかし、新型コロナウィルスによる社会状況が原料・器具調達や設備整備等に影響し、当初計画に遅延が生じた。化学組成あるいは粒径分布が異なるフィラーの調製等の合成試験については、計画通り実施できている。今後、残りの材料特性に関する研究を進め研究計画を遂行する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、化学組成およびフィラー含有量を考慮にいれた曲げ強度向上の指針を提唱するための研究を令和2年度から継続して実施する。令和3年度の研究では、フィラーの化学組成と曲げ強度の関係、ならびに、粒径分布とフィラー含有量の関係を調べる計画である。令和2年度に、化学組成あるいは粒径分布が異なるフィラーの調製試験まで実施済みである。令和3年度には、これまでのフィラー調製条件の成果を基にフィラーを調製し、調製したフィラーを用いて複合材料を作製する。複合材料作製の際のフィラー含有量および複合材料の曲げ強度のデータ取得を行い、これまでの解析結果を統合して、曲げ強度向上の開発指針を明らかにすると共に、最も曲げ強度が大きくなる条件検討を行うことで、300MPaの曲げ強度を実現して目的を達成する。 令和2年度に研究遅延があり、その原因は新型コロナウィルスによる社会状況が原料・器具調達や設備整備等に影響したためである。現在、原料調達、器具調達、研究設備等の整備が滞りなく実施できることを調達先等から確認しており、令和3年度の研究計画に問題はない。
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Causes of Carryover |
生じた次年度使用額は令和2年度に予定していた曲げ強度向上の指針の提唱の研究における複合材料の作製等に予定していた使用額である。次年度使用額が生じた理由は、当該研究では樹脂原料、複合材料作製用型、プレス機等が必要であったが、新型コロナウィルスによる社会状況の影響により、調達先における平常通りの製造や生産等が困難になり、研究計画に必要な原料等を調達できなかったためである。 次年度使用額は、当初の計画通り、曲げ強度向上の指針の提唱の研究に使用する。研究が遅延していた複合材料の作製および評価の実施項目を研究期間延長した令和3年度に実施し、これまでの解析結果と統合して、曲げ強度向上の開発指針を明らかにして目標を達成する。令和2年度に調達できなかった原料等について、調達先に提供可能であることを既に確認しており令和3年度に残りの研究を実施することに影響はない。
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Research Products
(3 results)