2019 Fiscal Year Research-status Report
有機-無機プロセスを用いた骨内インプラント材の先進的表面の設計開発
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18K09634
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
永井 亜希子 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (40360599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野崎 浩佑 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (00507767)
堀内 尚紘 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (90598195) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 配向性ナノセラミックスシート / 有機ー無機プロセス / ハイドロキシアパタイトナノ粒子 / 軟骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、歯科インプラント材料の高機能化に役立つ新しいバイオナノ界面モデルの提案を目的としている。細胞の足場となる骨内インプラント材料の表面を形成するための無機材料の表面ナノ構造を、有機分子の自己組織化秩序を利用した集合体をテンプレートとすることで適切に制御して合成する。この材料表面と生体との相互作用を、適材適所にてコントロールすることを目指している。 平成31年度は、ナノハイドロキシアパタイトで作製したアパタイトフィルム上での培養細胞の挙動を観察した。まず、脂肪酸カルシウムを用いた水熱合成法にてこれまでに得られた、針状および板状のナノ構造を有するハイドロキシアパタイト粒子を用いて、細胞培養用ガラス基板上に2種類の成膜をディップコーティング法にて行った。このアパタイトシートを透過型電子顕微鏡にて観察すると、2つのナノアパタイト粒子とも自己組織化にて規則的に配列し、2D構造であると考えられた。さらにX線回析法による解析でどちらもa面配向していることが分かった。水滴による表面の静的接触角を測定すると、2つのフィルムは濡れ性が異なることが明らかになった。次に、この2つの表面を用いて、株細胞であるATDC5細胞の培養を行った。得られたフィルムは、通常の細胞培養、継代操作にて剥離しないことを確認した。ATDC5細胞は、培養液に添加物を加えることで、容易に軟骨基質を生成する軟骨細胞に分化させることができ、この細胞のキャラクターチェンジは、アルシアンブルー染色にて観察や定量解析を行うことができる。2つの表面上でATDC5細胞は、接着・増殖し、添加物を加えることなく軟骨用細胞に分化させることができた。この足場効果は、板状ナノ粒子を用いたシート上で、より効果的であることが分かった。 今後は、2つの異なる物性を持つアパタイトシートの、細胞挙動への関与の相違についてのメカニズムなど検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している、を選択した理由は、2つの針状、板状ナノハイドロキシアパタイト粒子を用いて、細胞培養用ガラス基板上に異なる物性を持つ2つの成膜を作成することができたこと、その表面上で軟骨様細胞の培養がどちらも可能であり、さらに2つのアパタイトシートを比較することで、軟骨細胞にとってより優れたシートの選択が可能でったこと、が要因として挙げられる。 ナノシートの作製では、粒子を気―水界面にて単層膜を形成させたのち、それをディップコーティングすることで行った。ナノ粒子は規則的に配列し、どちらもa面配向していた。材料―細胞相互作用を評価するとき、表面についての評価は多くの要素が関与するため複雑になりがちであるが、本研究では化学組成と配向が類似する、2つの表面を作製することで、評価をよりシンプルにすることが可能になったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策については、作製したハイドロキシアパタイトナノシート上で培養を行った、軟骨様細胞の細胞挙動についてのメカニズムを解析していく、それによって材料―細胞相互作用に関与する表面因子を検討していくこと、を予定している。 生体骨の骨基質においては、ハイドロキシアパタイトナノ粒子がコラーゲンとともに規則正しく整列している。つまり、骨基質が、基質に隣接する細胞群へ発する情報には、化学組成に加え、もっと多彩な因子が存在すると考えられる。本研究における表面因子の探索により、新規骨内インプラント材料の設計に対して、新たな提案につなげていく。
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Causes of Carryover |
自然災害等により、10月、3月の学会が開催困難となり、旅費を使用しなかったため、次年度使用額が生じた。物品費に振り替える予定とした。
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Research Products
(4 results)