インプラント治療の骨質診断に有効なCBCTにおけるCT値に関する研究

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K09636
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 十河 基文 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70314391)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 和田 誠大 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (20452451)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: CT値 / MDCT / CBCT / FOV / はみ出し

Outline of Annual Research Achievements

■研究目的：医科用CT（以下MDCT）のおけるCT画像の画像濃度値は「CT値」と呼ばれ、メタボリック症候群の経過観察や脈管系の石灰化診断などの臨床で活用されている。一方で、歯科用CT（いわゆるコーンビームCT、以下CBCT）はMDCTとは異なり「CT値は出ない」とされている。研究代表者は「ある処理を行うことでCBCTでもCT値は出る」と思っている。しかし「CBCTにおいてCT値が出る/出ない」の直接証明は難しいため、対偶証明法を利用して「MDCTでもある条件下ではCT値が出ない」という証明を行おうとしている。その条件とは、被写体の撮影視野（FOV）からの「はみ出し」である。
■2018年/2019年の経過：2018年度は、第3世代放射光施設(SPring-8, 兵庫県)で正確に計測した自家製ファントムが物性劣化したため、同じCT値を示すファントムの再作製に時間を費やした。2019年度は、同ファントムを用いてMDCTの様々な条件下で撮影を行ったが、CT値の変化を導けなかった。そのため、条件を障害物の物性（金属棒や骨）やFOV内/外ではなく、CT値に影響するのはFOVの境界配置ではないかと考えた。
■2020年の実績：FOVの内側/境界部/外側に、様々な障害物（骨の本数を多くしたファントム、水ファントム、ゴムチップファントム）を設置し、FOVもMDCTの頭部モードの様々なサイズで試行錯誤した。しかし、やはり意図する結果は導かれなかった。その後、調べていくとMDCTとCBCTが全く異なる仕様とわかった。現在、CBCTとMDCの差が分かったため、新条件で撮影を行うべくさらに障害物となるファントムの準備段階で年度終了となった。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

2020年度は新型コロナウイルスの影響が多々あり、実験自体が出来ず進まなかったことと。また、MDCTとCBCTのX線の振る舞いが異なることがわかるまで、相当時間がかかったことで、遅れをとった。その条件設定のために新しいファントムを作ることも時間がかかった。

Strategy for Future Research Activity

新ファントムを作製する前に、行った水を使った仮実験の結果を出し、新ファントムを作製して、MDCTにおける「はみ出し」の影響を導きたい。

Causes of Carryover

まだ実験途中のため。新たなファントム作製と、学会発表ならび論文投稿の予算として予定している。