2019 Fiscal Year Research-status Report
α-ヒドロキシ酪酸とその代謝産物を用いた細胞分化誘導
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18K09642
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
前田 豊信 奥羽大学, 歯学部, 准教授 (10382756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 英俊 奥羽大学, 歯学部, 教授 (40275623)
加藤 靖正 奥羽大学, 歯学部, 教授 (50214408)
阿部 匡聡 奥羽大学, 歯学部, 講師 (10254872)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | α-ヒドロキシ酪酸 / 骨再生 / 細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、in vivoでα-ヒドロキシ酪酸誘導体の徐放性高分子化合物を応用するにあたり、混合物質を2種類検討した。 ①糖尿病予防効果が指摘されているフラボノイドのうち、近年、骨吸収抑制効果がわかってきたアントシアニンであるdelphinidin配糖体高含有植物抽出物とdelphinidinのB環が5'- O-メチル化したpetunidinを検討した。その結果、delphinidin配糖体は骨芽細胞でsuperoxide anionのスカベンジャーとして機能し、骨マトリックスの遺伝子発現を促進した。また、in vitroとin vivoでの骨吸収抑制促進が認められた(Antioxidants (Basel). 2019.)。さらにpetunidinはdelphinidinで観察された骨吸収抑制効果に加え、骨芽細胞においてBmp2の発現上昇を伴う石灰化を促進した(Int J Mol Sci. 2019.)。 ②自家骨再生で臨床で用いられているPlatelet-rich Fibrin (PRF)の併用を評価するための基礎知見を得る目的で、骨リモデリングにおけるPRFの役割を評価した。PRFはオステオプロテゲリン陽性細胞の増加を誘導した。一方RANKL発現に変化を与えなかった。このことから、PRFはOPG / RANKL比を増加させ、破骨細胞の活性を抑制していることがわかった(Exp Ther Med. 2019.)。 現在までののところ、α-ヒドロキシ酪酸誘導体は骨芽細胞の分化・石灰化を促進することがわかっているが、破骨細胞活性化については明確な効果が認められていない。このことから、強く破骨細胞活性化を抑制するアントシアニンあるいはPlatelet-rich Fibrinとの併用が、高分子α-ヒドロキシ酪酸誘導体の生体応用のにおけるオプションの1つとして挙げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究から得られた結果のうち、一部でα-ヒドロキシ酪酸もしくはその誘導体が、脂肪分化に影響を及ぼす可能性がわかってきた。そこで、安全性が担保されており、糖尿病発症に影響が少ないもの、もしくは糖尿病発症予防効果が示されている物質の併用を考えた。ここでPlatelet-rich Fibrinとアントシアニンに候補を絞り、その併用を模索した。これは、当初の計画にはなく、研究計画より遅延が生じている原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度で得た結果を元に、2020年年度はすでに一部実施しているin vivo試験の結果解析と、α-ヒドロキシ酪酸誘導体混合物の試験を実施する予定である。この際の評価項目として、骨代謝・脂質代謝・糖代謝を評価する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額発生理由は、次の二点である。①他の研究との連携により併用剤の検索が行えたため、当初の想定よりも安価に遂行できた。②2018年度の結果から、一部の研究推進方法法を変更したことにより、抗体を用いたin vitro 解析が2020年度に繰り越された。
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Research Products
(7 results)