2020 Fiscal Year Research-status Report
α-ヒドロキシ酪酸とその代謝産物を用いた細胞分化誘導
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18K09642
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
前田 豊信 奥羽大学, 歯学部, 准教授 (10382756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 英俊 奥羽大学, 歯学部, 教授 (40275623)
加藤 靖正 奥羽大学, 歯学部, 教授 (50214408)
阿部 匡聡 奥羽大学, 歯学部, 講師 (10254872)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨形成促進 / GPR81 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度には、以下の解析を行った。 ①α-ヒドロキシ酪酸の受容体と同じGタンパク質共役型受容体(GPCR)に属する、Taste-2 receptors (TAS2R) のプロモーター解析を行い、一部のTAS2Rプロモーター活性が二価の陽イオン(Zn2+)によって変化することを見いだした。すなわち、Zn2+ 存在下で遺伝子発現が増加し、細胞内キレーターの添加で著しくプロモーター活性と遺伝子は発現低下した。この遺伝子発現調節の一部には、クロマチン構造レギュレーターであるCCCTC-binding factor (CTCF)が関与していた(Kojima T, Maeda T et al. Biomed Res. 2020)。しかし、本現象は、単にZn2+が直接関与していたのみならず、Ca2+シグナルとのクロストークが関与している可能性も否定できない。また、CTCFはノックアウトマウスの解析から、FGF23や副甲状腺ホルモン量をコントロールし、骨石灰化と骨吸収を制御していることがわかっている。そこで本研究課題の中心的受容体であるGPCR81の発現とCTCFの関連についてを解析を試みた。 ②可溶性RANKLの投与がC.albicans感染下のマウスにおいて、骨髄間葉系幹細胞移植時と同様にIL-10遺伝子発現を著しく増加させることを明らかにした(Kobayashi-Sakamoto M, Maeda T et al. Microb Pathog. 2020 )。α-ヒドロキシ酪酸のin vivo 応用でも、組織中でRANKL発現が増加しており、IL-10が何らかの骨リモデリング促進機構に関与する可能性も考えられる。この点について解析を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
①年度初めに生じた感染症の拡大と緊急事態宣言により、研究の進行に大変大きな影響があった。研究事態宣言解除後も、感染症予防対策により他業務の大幅なエフォートが増加した(特に教育業務;授業や実習のビデオ化などによる)ため、本研究課題へのエフォートが著しく減少した。 ②令和3年2月13日に発生した福島県沖を震源とする地震によって、研究設備と機器が大きな損壊を受けた。 上記2つの理由により、本研究課題が遅々としている。
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Strategy for Future Research Activity |
地震による影響は現在も一部は残っているが、機器損壊は本年度上半期には修理・更新等で対応できる予定である。しかし教育施設であり、学生のワクチン完成までに未だ時間がかかることが予想されるため、本年度は現状で可能な限りの研究遂行と、一部の実験計画を変更してオンラインデーターベースの活用などを模索していく。
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Causes of Carryover |
SARS-CoV-2の流行に伴う緊急事態宣言発出と、その後の教育業務の形態改変により多大な時間を割いたため、本課題研究のエフォートが低下した。また、令和3年2月13日に発生した福島県沖を震源とする地震により、研究施設と研究機器に大きな損害が生じ、その復旧に令和2年度の残りの時間を費やした。これらの理由から、本課題が進んでいないため次年度使用額が生じた。
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