2018 Fiscal Year Research-status Report
Relationship between mild cognitive impairment and oral function
Project/Area Number |
18K09654
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大和田 学 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (70806421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古屋 純一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10419715)
水口 俊介 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30219688)
小野 卓史 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30221857)
鈴木 啓之 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (80801539)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 口腔機能 / 認知症 / MCI / 咀嚼 / 口腔衛生 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会にある我が国において,認知症高齢者の割合は増加傾向にある.この認知症の発症には,口腔衛生状態低下・歯周病の発症・残存歯数減少・咀嚼能力低下など様々な口腔因子が影響している可能性が報告されている.しかしながら,認知症高齢者に対して積極的な歯科介入を行うことは困難を伴う.このため,認知症発症前から,良好な口腔環境・機能を維持することは非常に重要であるが,認知症の前段階として着目されている,Mild cognitive impairment (MCI)患者の口腔機能・環境は明らかとなっていない.そこで,本研究においては,MCI患者の口腔環境・機能を明らかにすることを目的として,横断的調査を行うことと,その参加者を継続的に追跡することによる,口腔環境・機能と認知機能低下との関連の検討を目的とした縦断的研究を行うこととしている. 2018年度は,MCI患者の口腔環境・機能の実態解明を目的とした,横断的研究を継続して行った.本研究においては,口腔環境の評価として,舌苔付着・プラーク付着・歯肉の状態・機能歯数・顔貌・粘膜病変・義歯の質・plaque index・gingival index,口腔機能の評価としてオーラルディアドコキンネシス・口腔乾燥度・舌圧・口唇圧・デンタルプレスケール・咀嚼能力・嚥下能力,以上の項目をアウトカムとしている.また,研究参加者の認知機能については,CDR,MMSE,HSD-R,ADAS,Wechsler Memory Scale-R Logical Memoryを用いて総合的に評価を行い,認知症専門医が,MCIの診断を行うこととしている. 2018年度は,本研究のフィールドである認知症専門クリニックにおいて,研究参加者のリクルートを開始し,49名の研究参加者のリクルートが終了し,認知機能評価および口腔環境・機能の評価を行っている状態である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度は,本研究領域に対する最新の知見を得ることを目的に国内外の関連学会への参加や関連施設への訪問を行った.また本研究のフィールドである認知機能専門クリニックにおいて,研究参加者のリクルートを開始している.リクルート開始当初は,研究参加希望者が想定通りに集まらなかったが,研究フィールドであるクリニックの担当医と研究進行状況についてミーティングを継続して行うことにより,担当医からの研究参加に対する説明(強制ではなく自由意思による)や,研究に関するフライヤーの設置や貼付を行うことにより,リクルート体制を強化したところ,2018年度終了時点において,49名の研究参加者リクルートが終了できている状態である.研究参加者の認知機能状態の内訳は,健常者31名,MCI18名であった.2018年度において集まっているデータについての中間解析を行ったところ,プラークの付着,歯肉の問題,Plaque index,Gingival index,オーラルディアドコキネシスのタ音などの項目において,健常者とMCI患者との間に有意な差が認められ,かつ歯科受診を必要とする割合も,MCI患者の方が有意に高いということが示唆された.しかし,これはあくまで中間解析による結果であるため,MCI患者の口腔環境・機能の大まかの傾向は示唆されているものの,実態について正確に表しているわけではない.そのため,今後も研究参加者を増やしていくことで,より正確なMCI患者の口腔環境・機能の評価が必要となるといえる.2018年度においては100名の研究参加者リクルートを目標としていたため,達成度としてはやや遅れていると考えられる.また,想定していたよりもMCIと診断される研究参加者数が少なかったため,MCI患者数も目標数には達していないことから,今後もリクルートを継続して行う必要があると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,研究参加者200名(健常者100名,MCI患者100名)を達成するために,患者リクルートを継続して行い,口腔環境・機能の評価を継続して行う予定である.2018年度途中から,確立したリクルート体制を継続することにより,この目標は十分に達成可能であると考えられる. また,2018年度において,認知機能評価および口腔環境・機能の評価を行った研究参加者に対する,1年後の予後評価として,横断的調査と同一のアウトカム(舌苔付着・プラーク付着・歯肉の状態・機能歯数・顔貌・粘膜病変・義歯の質・plaque index・gingival index・オーラルディアドコキンネシス・口腔乾燥度・舌圧・口唇圧・デンタルプレスケール・咀嚼能力・嚥下能力)を行うことにより,認知機能の変化と口腔環境・機能の変化との関連を検討する縦断的調査を開始していく予定でいる.なお,この縦断的調査については,MCI患者に対して,適切な介入を行わないと1年で約10%,4年で約半数が認知症に移行する可能性があることが報告されていることから,4年予後まで,調査を継続していく予定である.
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Causes of Carryover |
今年度は患者リクルートがやや遅れていた,そのため研究に必要なデンタルプレスケールや舌圧プローブをはじめとする消耗品については現有の物品でまかなうことができ,購入を新たに行わなかったことから,次年度使用額が発生した.しかし,今年度途中からリクルート体制を強化したことにより,研究参加者が増加していく可能性が高いと考えられる.また,今年度研究開始した参加者の1年予後も測定開始となる予定である.そのため,消耗品の使用頻度が高くなると考えられることから,次年度の使用計画としてはデンタルプレスケールや舌圧プローブなどの消耗品の購入を中心に使用する予定である.
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Research Products
(2 results)