2019 Fiscal Year Research-status Report
高透光性PSZ系ジルコニアのアルミナブラスティング後の曲げ強度は熱処理で改善する
Project/Area Number |
18K09663
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉田 圭一 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (70230729)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平 曜輔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (40226725)
鎌田 幸治 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (60264256)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ジルコニア / アルミナブラスティング / 高透光性PSZ / 追加熱処理 / 曲げ強さ / 表面性状 / 接着強さ |
Outline of Annual Research Achievements |
熱処理の温度や時間、回数によって、曲げ強さがどの程度改善されるのかを検証する必要がある。また、アルミナブラスティング後の追加熱処理で、高透光性TZP系ジルコニアと同様にレジンセメントとの接着耐久性を示すか検証する。 ディスク状の高透光性PSZ系ジルコニアを曲げ試験片用に棒状に切断し、指定のスケジュールで焼結する。研磨後、アルミナブラスティングの噴射圧は0.1、0.2、0.3 MPa、噴射時間は5、10、15、20 s/cm2とし、これらの組合せでジルコニア表面にアルミナブラスティングを行い曲げ強さを測定する。アルミナの粒径であるが、 高透光性PSZ系ジルコニアではアルミナの粒径が大きくなるにしたがい、ジルコニアの表面粗さは大きくなる。そこで、臨床で使用頻度が高い50μmの粒子を使用する。さらに、板状の試験片を作製し、上記と同じ噴射圧と時間でアルミナブラスティングを行い、電子顕微鏡で表面観察、レーザー顕微鏡で表面 粗さを測定するとともに、X線回折装置を使用し表層の結晶構造を分析する。 その結果、アルミナブラスティングの噴射圧は0.2 MPa、噴射時間は15 s/cm2で行えば、高透光性PSZ系ジルコニアの表面に微細な凹凸が形成されることが明らかになった。表面粗さは焼結後に研削したものの約3倍の値を示したが、曲げ強さは約40%低下した。しかしながら、アルミナブラスティング後1500℃で追加熱処理すると、表面粗さは変化せず曲げ強さが研削直後の値まで回復する可能性が示唆された。 ジルコニア表面を0.2 MPa、15 s/cm2でアルミナブラスティング後、1500℃で10、30、60分間追加熱処理した場合、曲げ強さも表面性状も60分間追加熱処理した場合が焼結後の無処理と同等であった。しかしながら、レジンセメントとの接着強さは追加熱処理しなかった場合が有意に高い値を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度に当初予定していた、高透光性PSZ系ジルコニアのアルミナブラスティング後、曲げ強さと表明性状を回復できる追加熱処理の温度と係留時間が判明した。また、この条件でのレジンセメントとの接着強さは追加熱処理を行わなかったものと比較して有意に低い値を示すことが明らかになったからである。
|
Strategy for Future Research Activity |
アルミナブラスティングや追加熱処理によって、Y-PSZが低温劣化しないのかを検証する。 Y-PSZで製作した修復物を口腔内に長期間装着した場合を想定し、オートクレーブを使用し加速劣化試験を行う。2 × 2 × 25 mmの棒状と15 mm四方で厚さが1 mmの板状のY-PSZの試験片を作製する。表面処理条件としては、焼結直後、研削後、研削後0.2 MPa、15 s/cm2でアルミナブラスティング、さらに1500℃、60分間追加熱処理の4種類である。 それらの試験片を134℃、0.2 MPaの水蒸気圧下に5、10、30、50時間放置する。棒状の試験片で3点曲げ強さの測定を行い、X線回折装置を使用し板状の試験片で表面の結晶構造の分析を行う。
|
Research Products
(1 results)