2019 Fiscal Year Research-status Report
顎骨間葉系幹細胞由来エクソソームを利用した新規顎骨増生療法の開発
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18K09687
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
石井 正和 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00456683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 正宏 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (00294570)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
顎骨骨髄由来間葉系幹細胞(MBMSC)は歯科医にとって採取アプローチが容易で、他の幹細胞と同等かそれ以上の骨分化能を有し、顎骨増生を図るために有望なセルソースと考えられるが、現状ではMBMSC移植による骨増生効果にはバラツキが大きく、治療効果を一定にコントロールすることが出来ない。MBMSCによる骨増生治療を成功させるためには、移植前に細胞の持つ能力を把握することが重要である。 本年度は、5名の患者より採取した顎骨骨髄由来MSC(MBMSC)とロットの異なる3つの腸骨骨髄由来MSC(IBMSC)を用いて両細胞間の機能比較をおこなった。MBMSCと腸骨骨髄由来MSC(IBMSC)との骨・軟骨・脂肪分化能の比較をおこなった結果、MBMSCとIBMSCにおいて骨分化能と軟骨分化能は、個体間のバラツキはあるものの、両細胞間で大きな差は認められなかった。一方、脂肪分化能においては、MBMSCはIBMSCに比べ明らかに分化能が低いことが明らかとなった。次にMBMSCにおいて脂肪分化が抑制される分子メカニズム解明のため、脂肪分化関連遺伝子、タンパク発現解析をおこなった。MBMSCはIBMSCに比べPPARγ、C/EBPδの発現が有意に低下していることが明らかとなった。さらに、脂肪分化制御分子メカニズム解明のために、細胞内に発現するマイクロRNA(miRNA)の発現解析をおこなった。解析の結果、MBMSCとIBMSCにおいて発現量が4倍以上異なるmiRNAが60個以上存在することが判明した。現在、これらのmiRNAの中で、脂肪分化の調整に関与する因子の同定を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、MBMSCにおける分化能の特異性を明らかにすることができ、さらにMBMSCの分化を制御する可能性のあるmiRNAの探索をおこなうことができた。しかし、本研究課題の目的の一つである、細胞外に分泌されるエクソソームを用いた分化能評価法の探索については、MBMSCから採取されるエクソソームが非常に少量であるため、安定的に解析をおこなうことができず、この点が未達の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
MBMSCの機能を特徴づける分子の探索を目的として、当該年度の研究成果によって得られたmiRNA発現結果を詳細に解析し、MBMSCの分化を制御する分子の特定を行う。さらに、特定されたmiRNAを他の組織由来間葉系幹細胞(骨髄由来、脂肪由来)に対して、遺伝子導入をおこなった際の機能変化について評価をおこなう。
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Causes of Carryover |
(理由) 細胞培養にかかる消耗品の使用が当初の予定よりも少なかったため。 (使用計画) 細胞培養に必要な培養液、エクソソーム単離キットの購入によって適切に使用する。
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Research Products
(4 results)