2021 Fiscal Year Annual Research Report
Microbiological and morphological investigation for establishing home care method of removable denture with soft lining materials.
Project/Area Number |
18K09690
|
Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
上田 貴之 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20366173)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竜 正大 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (20549985)
和田 健 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (70755016)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 可撤性義歯 / シリコーン系軟質リライン材 / 義歯清掃法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、シリコーン系軟質リライン材により裏装された義歯に適した機械的・化学的清掃(ホームケア)方法を確立することを目的に行われた。 まず、義歯に定着する口腔内微生物の種類についての研究を行った。義歯床用材料で試験用試料ディスクを製作して口腔内に留置し、その表面に定着した微生物を16s rRNAシークエンサーを用いて解析した結果、義歯床用レジンに定着した細菌叢は唾液中のものとは組成が異なり、プラーク中の組成に近いことが明らかになった。次に、義歯床用レジン、コバルトクロム合金、ハイドロキシアパタイトで製作した試料ディスクに定着した細菌の解析を行った。その結果、3つの材料間で細菌叢の割合に差が無いことが明らかとなった。 また、義歯の機械的清掃、化学的清掃がシリコーン系軟質リライン材の表面粗さに対する影響を調査した研究を行った。機械的清掃に関して、試料を義歯ブラシ、軟性材料用義歯ブラシ、スポンジで刷掃したところ、ショアA硬さの高い軟質リライン材はスポンジによる刷掃で表面粗さが増加しないことが明らかになった。化学的清掃に関しては、試料を中性過酸化物系義歯洗浄剤、アルカリ性過酸化物系義歯洗浄剤、次亜塩素酸系義歯洗浄剤にそれぞれ浸漬したところ、ショアA硬さに関わらず中性過酸化物系義歯洗浄剤への浸漬は表面粗さを増加させないことが明らかになった。更にショアA硬さが高い軟質リライン材には、スポンジによる刷掃と中性過酸化物系義歯洗浄剤への浸漬を併用しても表面粗さが増加しないことが明らかとなった。 高齢化が進み、高度な顎骨吸収や粘膜の菲薄化によって、義歯床下粘膜の疼痛が消失しない症例が増加している。そのため、疼痛の除去を目的に臨床の現場で軟質リライン材が使用される機会は増加していくと考えられる。本研究は軟質リライン材を使用する上で清掃・管理方法を確立するための一助になると考えられる。
|