2020 Fiscal Year Research-status Report
補綴治療がもたらす咀嚼行動変容 ―ウェアラブルデバイスを用いた食事モニタリング―
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18K09697
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
堀 一浩 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70379080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 高裕 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30204241)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 咀嚼 / 咀嚼回数 / 補綴装置 / 高齢者 / 咀嚼能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで,咀嚼機能の評価において咀嚼能率検査,顎運動検査,アンケート調査などが行われてきた.しかし,いずれも主観的な評価であるか診療室での評価であり,普段の食事における咀嚼を客観的に評価するものではない.我々は耳にかけるだけで咀嚼運動を計測可能なウェアラブル型の咀嚼行動モニタリングシステム(バイトスキャン)を開発している.本研究課題では,この新型咀嚼計を用いて普段の食事における咀嚼行動を観察し,習慣的な咀嚼回数,補綴治療による咀嚼行動変容,要介護高齢者における調整食の選択と咀嚼行動の実態を明らかにすることを目的とする. 我々は,高齢者を含む成人の咀嚼行動を検討し,咀嚼回数は,男性が女性と比べて有意に多かったが,年代別の違いは見られなかった.一方,咀嚼能率は高齢者は有意に小さく,女性は有意に小さかった.また,咀嚼行動と咀嚼能率の間には有意な関連が認められなかった. さらに,地域在住自立高齢者の咀嚼行動を検討した結果,口腔機能低下や咀嚼機能低下を呈する高齢者と,健常な高齢者との間には,咀嚼回数の有意な違いは認めなかった.一方で,口腔機能低下症の高齢者において,咀嚼テンポが有意に低下していることが示された.これらの結果は,咀嚼機能が低下した高齢者においても咀嚼回数を増やすことで代償するような行動は見られず,食塊形成が不良となっている可能性があり,窒息や栄養摂取不良を起こすリスクがあると考えられた. 現在,補綴装置装着前後の咀嚼回数・咀嚼能力の変化の検討を始めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルス感染症の拡大をうけ,被験者のリクルートに支障をきたしたため
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,引き続き有床義歯治療前後の咀嚼運動測定を行う予定である.具体的には,新潟大学医歯学総合病院義歯診療科にて有床義歯治療を行う患者を対象とし,有床義歯治療前,および有床義歯装着し初期調整終了後に調査を行う.主評価項目は咀嚼回数,咀嚼スピード,取り込み回数,一口当たりの咀嚼回数,食事時間とする.副評価項目として,グミゼリーを用いた咀嚼能率検査,咬合力測定,食事量,食生活・生活習慣に関するアンケートを採得する.咀嚼回数計を1週間患者に貸し出して普段の食事中に装着してもらい,主評価項目を測定する.また,副評価項目は,診療室にて測定する予定である.
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の拡大のため,被験者のリクルートに支障をきたした.そのため,測定に使用する研究消耗品の購入を控えていた.本年度において,引き続き被験者を募集して測定を行う予定としており,そのための消耗品などを購入する予定である.
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Research Products
(13 results)