2019 Fiscal Year Research-status Report
無歯顎者におけるインプラントおよび補綴装置選択基準の力学的検討
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18K09699
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 利士 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (70610864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
権田 知也 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (30324792)
富田 章子 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (10585342)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インプラント / オーバーデンチャー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は上顎インプラントオーバーデンチャにおけるインプラント,顎堤および補綴装置の挙動を解析することを目的とした本研究の流れの中で,その第二段階としてインプラントおよび義歯のひずみに影響を及ぼす様々な因子と,その影響度について検討をおこなった.具体的な因子については,インプラントは本数・配置(4本および6本,前歯部,小臼歯部,大臼歯部から選択),連結の有無(ロケーターアタッチメントおよびドルダーバーアタッチメント),義歯については補強構造の有無と口蓋部被覆の有無の計4つとし,影響度については重回帰分析を用いて検討を行った. 重回帰分析の結果,他の因子の影響を調整した上でも口蓋部被覆の有無,補強構造の有無,インプラントの本数・配置,ならびにインプラントの連結の有無は,独立してインプラント,ならびにオーバーデンチャーに生じるひずみに有意に影響を及ぼすことが明らかとなった.また,インプラントならびにオーバーデンチャーの唇側においては,インプラントの連結が,オーバーデンチャーの口蓋側においては,口蓋部の被覆が標準化偏回帰係数が最も大きくなった. この結果より,上顎無歯顎患者におけるインプラントオーバーデンチャーを設計する際に考慮する点のうち,口蓋部を被覆すること,補強構造を埋入すること,インプラントを6本用いること,ならびにインプラントを連結することは,それぞれ独立してインプラントおよびオーバーデンチャーに生じるひずみを抑制し,力学的トラブルを防止し,口腔機能の低下を予防する可能性が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していたオーバーデンチャーにおけるインプラントおよび義歯についての計測については,順調であると思われる.しかし,連結した固定性補綴装置とオーバーデンチャーとの比較については検討できておらず,これらを検討し,治療選択の基準を見つけることが今後の課題であると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は固定性補綴装置についても,これまでおこなってきたオーバーデンチャーの場合と同様に,インプラントや補綴装置に影響を与える因子とその影響度について模型実験および有限要素法を用いて検討していく予定である.また,固定性補綴装置と可撤性補綴装置(オーバーデンチャー)との違いを明らかにし,インプラント治療を選択する際の力学的なエビデンスの構築を目指す. また,次年度は実験計画の最終年度であるため,今まで2年間で得られた知見を論文にまとめ,公表していく予定である.
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Causes of Carryover |
購入した物品が当初予定していた金額より安かったこと,学会の旅費をできるだけ早期に予約したため旅費が安くなったことにより,わずかながら差額が生じたと考えられる.この差額分は,次年度に現在執筆中の論文発表の英文校正および出版費用に使用する予定である.
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Research Products
(4 results)