2019 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム編集KOマウスを用いたコラーゲン分子架橋因子PLOD2の癌転移における役割
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18K09717
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中嶋 大 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (50431747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎葉 正史 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (20301096)
鵜澤 一弘 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (30302558)
笠松 厚志 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (60375730)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Plod2 / ノックアウトマウス / 胎生致死 / 口腔癌 / クロスリンク解析 / ナノインデンテーション試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、先行研究で得たLH2ヘテロマウスの交配を継続させLH2ノックアウトマウスの確認およびLH2ノックアウトマウス由来胎児線維芽細胞(MEF細胞)を作製し、癌細胞の足場・道を不良にした状態を作ることで、癌転移実験を進めていく計画である。ホモマウスは胎生期10.5日に胎生致死を起こしていることがわかったためMEF(マウス胎児線維芽細胞)の樹立を試みたが、MEFは樹立できなかった。したがってヘテロマウスを用いてin vivoの実験を行うこととした。最終目的は、Plod2発現制御による癌転移抑制剤の開発であり、癌転移機構の解明だけでなく治療薬についても検討することは臨床的にも社会的にも大きく貢献できるものと確信している。以下に本年度の成果を示す。 1.LH2ヘテロマウス作製の確認を継続し、順当に仔マウスを得ることに成功した。 2. LH2ノックアウトマウスでは心臓の形成不全が見られ、その結果胎生致死を引き起こすことが明らかになった。 3. ヘテロマウスの形態学的な特徴の解析を行い、以下の結果を得た。 ①LH2タンパク発現はWTに比べ皮膚・尾腱・大腿骨において低下を認めた。②大腿骨の免疫組織化学染色を行ったところ、へテロに対してWTの方がLH2の高発現を認め、骨頭部の成熟を認めた。③大腿骨に対するナノインデンテーション試験(物質の硬さや弾性率、降伏応力などの力学的物性をナノメートルスケールで測定)にてヤング率と弾性変形仕事率において有意差を認めたことから、WTの大腿骨の方がより硬くしなやかであるという機械的性質を持つことが示された。④LH2ヘテロマウスの大腿骨では、WTと比較してPlod2が関与するクロスリンク (Pyr、DHLNL、d-PYr)の性状は変化していた。これは、骨の成熟がヘテロマウス で不十分であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホモマウスからヘテロマウスへの変更はあるが、計画書に記載した通りの対策・変更を施し、研究は順調に進行している。現在、ヘテロマウスを用いてin vivoの実験(癌転移実験)を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
ワイルドタイプのマウスと比較し、ヘテロマウスで表現型に差がある場合は、in vivoにおける腫瘍形成能や転移能に有意差が出るものと考えられる。癌実験において有意義なデータとなりうる。
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Research Products
(1 results)