2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K09737
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安田 元昭 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (90239765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東野 史裕 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (50301891)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | adenovirus / tripartite leader |
Outline of Annual Research Achievements |
真核細胞は、増殖因子や栄養の欠乏、ウイルス感染、突然の温度上昇などのさまざまな状況の変化に応答してタンパク質合成全体の速度を減少させる。がん細胞においては正常細胞とは異なった表現型がみられる。アデノウイルスはこのような宿主反応に対抗するため、tripartite readerと呼ばれる5’ 非翻訳領域配列により宿主細胞のタンパク質合成速度が減少している環境においても自身の構造タンパク質を優先的かつ高効率な状態で発現する(宿主細胞に発現させる)ことができる。ウイルス構造蛋白質の発現効率をがん細胞で特異的に上昇させることは、より高い腫瘍溶解性能を実現することにつながっていく。我々は、mRNAの5’ 非翻訳領域に存在するtripartite reader 配列がmRNAの二次構造を変化させるような機能を持つのではないかと考え、In vitro translationの実験系を用いて反応温度への依存性を検討した。30℃においてはtripartite readerの有無によってルシフェラーゼ活性に差は認められなかったが、37℃においてはtripartite readerを組み込んだコンストラクトからのルシフェラーゼ翻訳は優位に増強されていた。Real Time PCRの結果からmRNAの転写量に大きな変動は見られず、翻訳過程におけるmRNAの二次構造の変化が原因であると考えられた。この反応に寄与する分子として、あるスプライシング関連因子の同定を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規の翻訳促進関連分子のクローニングに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
非翻訳領域にmRNAの二次構造を変化させるような配列を導入することによる、タンパク質発現のシームレスな調節を目標に、断片化した微生物ゲノムDNAをルシフェラーゼ・リポーターの5’ 非翻訳領域にクローニングしたライブラリーを構築し、真核細胞に導入・発現解析を行っていく。現在まで375個のクローンの発現解析を終了しているが、発現を2倍以上に活性化できる配列を有するクローンは2%内外であり、全体の80%のクローンはルシフェラーゼの発現を0.5~50%まで抑制するものであった。今後は様々な腫瘍細胞についてこれらのクローンを導入し腫瘍幹細胞における応用を目指す。
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Causes of Carryover |
発生した金額は、年度末に購入を予定していた試薬単価がキャンペーン価格等により想定した額よりも安価になったため生じたものであり、また金額も総額の1.5%程度であり今年度実験計画遂行上影響はなかった。
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