2020 Fiscal Year Annual Research Report
Novel strategy targeting myeloid cells-mediated invasion of oral cancer
Project/Area Number |
18K09741
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
野口 誠 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (50208328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 学 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10547516)
笹原 正清 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (20154015)
藤原 久美子 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (60404737)
冨原 圭 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (70404738)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 口腔癌 / 局所浸潤 / 癌関連線維芽細胞 / 破骨細胞分化 / 骨髄由来免疫抑制性細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔粘膜や歯肉歯槽粘膜に発生する扁平上皮癌は、発生の早期から粘膜下組織から骨組織を浸潤、破壊し、他部位の上皮性悪性腫瘍にはみられない極めて特異な浸潤性増殖をする性質を有する。本研究では、口腔扁平上皮癌の浸潤機序の一端を、ミエロイド系細胞を中心とした免疫応答の相互作用に着目して解明を試みるものである。口腔扁平上皮癌の顎骨浸潤を誘導する破骨細胞も、MDSC同様にCD11b陽性の骨髄系由来の細胞であるが、それぞれの分化過程における関連性については関連性が示唆されているものの未だに不明なままである。また、腫瘍の浸潤には、腫瘍組織内の線維芽細胞である、いわゆる癌関連線維芽細胞cancer associated fibroblast(以下CAF)が重要な役割を果たすことも示唆されている。しかし、その細胞の形質や機能については不明な点が多く、またその発生機序についても未だに不明なままである。本研究は、腫瘍局所で著しく集簇するミエロイド系抑制性細胞(MDSC)の口腔癌浸潤過程における役割を解明することを目的として、口腔癌局所浸潤の免疫学的機序における癌関連線維芽細胞(CAF)および破骨細胞分化に着目して研究を行った。その結果、口腔癌担癌マウスを用いた解析によって、腫瘍局所におけるPDGFRα発現陽性の細胞が著しく増加していることが明らかとなり、それらの細胞はCD11bおよびGr-1の発現が陽性であり、MDSCとの関連が強く示唆される結果であった。さらに口腔癌担癌マウスの腫瘍組織から分離したMDSCは、他の臓器から分離したMDSCと比べて有意に破骨細胞への分化能が増強していることも明らかとなった。以上の結果より、口腔癌の局所進展、特に骨浸潤過程においては、腫瘍局所で増加するMDSCからの癌関連線維芽細胞を介した浸潤過程、さらにMDSCからの破骨細胞分化による顎骨浸潤促進の機序の可能性を示唆する結果であり、口腔癌浸潤過程におけるMDSCの標的化の重要性が示された結果であった。
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