2018 Fiscal Year Research-status Report
骨修復に破骨細胞は必要か:破骨細胞分化抑制モデルマウスを用いた実験的検討
Project/Area Number |
18K09760
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 恵 東北大学, 歯学研究科, 助教 (20431512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹野 泰之 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30196191)
山口 哲史 東北大学, 大学病院, 講師 (50400263)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨修復 / 破骨細胞 / c-fos / OPG |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、破骨細胞分化が全身性に障害されたc-fos欠損マウスと、OPGの投与により局所的に破骨細胞分化が抑制されたマウス、そして破骨細胞分化が正常な野生型マウスを用いて、頭頂骨に作製した規格化骨欠損の修復過程を比較検討することにより、骨修復における破骨細胞の役割を明らかにすることを目的とする。 当該年度はまず、本研究で用いるマウスの飼育を行った。本研究では、破骨細胞分化が抑制されたc-fos欠損マウスを用いて実験を行うことになっているが、c-fos欠損マウスは-/-同士の交配ができないため、-/-の個体の採取が計画的に行えない。そこで、+/-同士の交配を行い、産仔の遺伝子型を調べて個体を採取しなければならない。現在、+/-の個体数を増やして交配・繁殖中である。 次に、野生型マウスを用いて頭頂骨に規格化骨欠損を作製し、骨修復実験系を確立した。これまでもラットを用いた同様の系を利用してきたが、マウスでは初めてであったため、骨欠損作製で用いるトレフィンバーのサイズや手術手技等の検討を行い、マウス頭頂骨の規格化骨欠損実験系を確立し、手技を習得した。頭頂骨を利用した骨修復実験系は、他の研究や実験にも応用できるため、この実験系の確立は骨修復・骨再生の分野に貢献し得るものであると考える。 また、当初の実験計画では、カテプシンKとオステオカルシンのmRNAの定量解析を行う予定であったが、多角的な検討を行うためにタンパクの局在を調べることにした。そこで、カテプシンKとオステオカルシンの抗体を用意し、骨組織切片を作製して免疫組織化学の手法を習得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究で使用するc-fos遺伝子欠損マウスの交配・繁殖を試みてはいるが、-/-の個体の採取が遅れているため、本研究課題の進捗は遅れている。さらに、OPG製剤投与の実験系の確立をする予定であったが、これも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
c-fos遺伝子欠損マウスの+/-の個体を増やし、交配・繁殖を継続して行う。また、すでに飼育中の野生型マウスを用いた実験を先行して行い、本研究の進行の遅れを取り戻す。 今後の研究の進め方であるが、野生型マウスの頭頂骨に規格化骨欠損を作製し、随時マイクロCT撮影を行う予定である。得られた画像データから術後1・2・4・6週の修復骨量を算出し、経時的な修復骨量の変化について検討を行う。また、マイクロCT撮影後の試料から骨欠損修復部位を含む頭頂骨を採取し、固定後パラフィン切片を作製して組織学的検討を行い、修復骨の形成部位や量、破骨細胞の局在パターンや細胞数の計測等の解析を進める予定である。 さらに、骨欠損作製後2・4・6日でOPG製剤を皮下投与した野生型マウスの頭頂骨を採取し、固定後パラフィン切片を作製してTRAP染色を施し、破骨細胞の分化が抑制できているか調べ、OPG製剤を用いた局所の破骨細胞抑制実験系を確立する。
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Causes of Carryover |
(理由)本研究で使用するc-fos遺伝子欠損マウスの-/-の個体の採取が遅れており、当初予定していた実験を行えず、そのために未使用金額が発生した。 (使用計画)c-fos遺伝子欠損マウスの交配・繁殖を目的に個体数を増やすため、その飼育代として、また、次年度に延期した実験を遂行するための経費として、次年度請求額と合わせて使用する予定である。
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