2020 Fiscal Year Research-status Report
骨修復に破骨細胞は必要か:破骨細胞分化抑制モデルマウスを用いた実験的検討
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18K09760
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 恵 東北大学, 歯学研究科, 助教 (20431512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹野 泰之 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30196191)
山口 哲史 東北大学, 大学病院, 講師 (50400263)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨修復 / 破骨細胞 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、破骨細胞分化が全身性に障害されたc-fos遺伝子欠損マウスと、破骨細胞の形成を抑制するサイトカインであるOPGを投与することで局所的に破骨細胞分化が抑制されたマウス、そして正常に破骨細胞分化が起こる野生型マウスを用いて、頭頂骨に作製した規格化骨欠損の修復過程を比較検討することにより、骨修復における破骨細胞の役割を解明することを目指す。 c-fos遺伝子欠損マウスについては、ヘテロ同士の交配後に産仔のgenotypingを行い、ホモのノックアウトマウスだけを実験用として選出し、頭頂骨規格化骨欠損を作製する予定であったが、-/-の個体の出現率が低く、必要数を確保することができていない。そこで当該年度は、野生型マウスを用いた実験を先行して行った。 野生型マウスの頭頂骨にトレフィンバーを用いて直径2.4mmの規格化骨欠損を作製し、術後4週・8週・12週で骨欠損作製部を含んだ頭頂骨を摘出して、4%パラホルムアルデヒドで固定後マイクロCT撮影を行った。前年度の予備実験から、観察期間を術後8週まで延長したが、修復骨の形成が十分ではなかったため、術後12週まで延長して検討することにした。現在、野生型マウスにおける骨欠損部のマイクロCT撮影は終了している。マイクロCT撮影後の試料は10%EDTAを用いて脱灰後にパラフィン包埋し、組織学的解析用サンプルとした。 さらに、修復部における骨芽細胞と破骨細胞の動態を検討する目的で、骨芽細胞のマーカー分子であるosteocalcinとRunx2と破骨細胞のマーカー分子であるTRAPとcathepsin KのmRNA量を調べるため、術後8週の骨修復部位から修復骨サンプルを採取してトータルRNAを抽出し、リアルタイムPCR法によるmRNAの定量を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究で使用するc-fos遺伝子欠損マウスの繁殖が予定通りに進まず、また、破骨細胞の形成を抑制するOPG製剤を投与する実験系が確立できていないため、野生型マウス以外の実験に遅れが生じている。 さらに当該年は新型コロナウィルス感染の拡大防止のため、実験の中断期間が長期に及んだことにより、本研究課題の進捗は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様に交配ペアを増やすことでc-fos遺伝子欠損マウスを得られるよう試みる。また安定して供給可能である野生型マウスを用いた実験を先行して行い、本研究における進行の遅れを取り戻す。 現在既に、野生型マウスの頭頂骨規格化骨欠損作製後4週・8週・12週における骨修復部位のマイクロCT撮影は終了しており、マイクロCT撮影後の試料は組織学的解析を行うため、パラフィン包埋ブロックとした。今後は、修復部位における骨芽細胞と破骨細胞の存在と分布について組織学的に検討を行う予定である。パラフィン包埋ブロックをミクロトームを用いて薄切し、作製した切片にALP染色とTRAP染色を施し、骨産生系の細胞と破骨細胞について検討を行う。 当該年度において、野生型マウスの頭頂骨規格化骨欠損作製後8週における修復骨サンプルのトータルRNAを抽出を終えている。今後は、トータルRNAからcDNAを合成し、リアルタイムPCR法による骨芽細胞と破骨細胞のマーカー分子(osteocalcinとRunx2、TRAPとcathepsin K)のmRNAの定量を行う予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)本研究で使用するc-fos遺伝子欠損マウスの安定した供給が困難であったこと、新型コロナウィルスの感染拡大のため、研究業務の中断を余儀なくされたことにより、当初予定していた実験が行えなかった。そのために未使用金額が発生した。 (使用計画)本研究で使用する実験動物の安定した供給を実現するために、昨年に引き続きc-fos遺伝子欠損マウスと野生型マウスの飼育費用、さらに次年度に延期した実験を遂行するための費用として、次年度請求額と合わせて使用する予定である。
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Research Products
(3 results)