2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of novel anti-tumor drugs binding to the telomeric DNA structure
Project/Area Number |
18K09775
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
冨永 和宏 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40188793)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | テロメラーゼ / テロメア / 4本鎖DNA / 4本鎖DNA結合性化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
テロメラーゼは細胞の不死化に大きく関連し、あらゆる癌の80%以上に高発現しているが、正常な細胞にはほとんど発現が無い。テロメラーゼは癌化学療法の新たな標的として期待され、テロメアDNAに特異的に結合しテロメラーゼの働きを阻害する様々な化合物が設計・開発されている。我々はテロメアDNA構造に高い結合特異性をもつ環状アントラキノン(cyclic anthraquinone;cAQ)が、培養細胞レベルで正常細胞よりも癌細胞に対して強い増殖抑制効果を示すことを確認してきた。本研究ではcAQの抗腫瘍効果および安全性についてヌードマウスを用いた個体レベルで検討した。 5週齢KSN/Slcヌードマウスの背部皮下にSAS細胞を移植した担癌モデルにおいて、0.003 mmol/kgのcAQ、0.03 mmol/kgのCDDPまたは生理食塩水を隔日で計5回腹腔内投与し、抗腫瘍効果を検討した。一方、非担癌マウスでも担癌モデルと同様の薬物投与を行い、毒性について生化学的及び病理組織学的に解析した。 cAQおよびCDDP投与群において、いずれも有意な抗腫瘍効果を認めた。一方、CDDP投与群では体重が減少し、血清生化学検査から腎臓および肝臓の機能異常が示唆されたが、cAQ投与群では対照群との相違を認めなかった。またCDDP投与群では腎臓、肝臓および精巣に既知の異常所見を認めたが、cAQ投与群による組織学的変化を認めなかった。 cAQはマウス個体レベルでも抗腫瘍効果を示し、かつCDDPと比較して正常組織への毒性が低く、安全性の高い新たな抗腫瘍薬開発に貢献することが期待される。
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Research Products
(2 results)