2019 Fiscal Year Research-status Report
Sphingosine kinaseを標的とした口腔癌の分子標的治療の開発
Project/Area Number |
18K09787
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
濱田 正和 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (80506361)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | SphK1 / 分子標的治療 / オートファジー / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
分子標的薬の開発は目覚ましく、わが国では口腔扁平上皮癌 (OSCC)に対して抗epidermal growth factor receptor (EGFR) 抗体、免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-1抗体が承認されて、従来のシスプラチンや5FUとは違った分子標的治療が現実のものとなっている。研究代表者は、プロテインキナーゼC (PKC) を分子標的とするsafingolを用いてOSCC細胞のcaspase非依存的アポトーシス誘導機構を解明した。その後、safingolはスフィンゴ脂質代謝物sphingosine-1-phosphate (S1P)を生成するsphingosine kinase 1 (SphK1) を阻害することも判明した。S1Pを産生する酵素がSphKで、ヒトで同定された2種類のアイソザイムSphK1とSphK2が、発癌や浸潤,転移,放射線増感作用に重要な役割を果たすとされている。SphK1を阻害する薬物としてsafingol以外にDMS、PF-543なども開発されている。そこで本研究では、SphK1選択的阻害剤PF-543の研究に着手した。PF-543は各種OSCC細胞株(Ca9-22細胞、HSC-3細胞、SAS細胞)において濃度依存的および時間依存的に細胞増殖抑制効果を示した。生体における細胞死の中には、ネクローシス、アポトーシスに加えてオートファジーを介した細胞死が存在する。栄養飢餓状態の間は、オートファジーは生存促進機構として働くが、行き過ぎたオートファジーは細胞死を誘導する。SphK1選択的阻害剤PF-543によりアポトーシス、ネクローシスおよびオートファジーを誘導することを確認し、特にCa9-22細胞、HSC細胞ではオートファジー阻害剤により細胞死が抑制されることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度SphK1阻害剤がオートファジーを誘導することを確認したので、オートファジー阻害剤の併用効果を中心に検討を行い、SphK阻害剤によるオートファジーの細胞生存あるいはプログラム細胞死に対する働きをもとに、オートファジー阻害剤の併用が細胞死増強に繋がることが確認出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は可能であれば次世代シーケンサーを用いた解析や、TCGAといったPublic dataの結果も考慮に入れて実験を進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
おおむね順調に進展しているが、一部遅れているため差額が生じている。 今後消耗品である細胞培養関連試薬や抗体類等で適宜使用予定である。
|