2019 Fiscal Year Research-status Report
MIA2関連シグナルを標的とした口腔癌の分子診断・治療の新展開
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18K09796
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
栗原 都 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (40453170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹平 智則 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90405374)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 口腔癌 / MIA family / MIA2 |
Outline of Annual Research Achievements |
MIA familyは腫瘍の進展に関わる因子で、主なものとしてMIA、MIA2、ならびにTANGOが存在する。申請者らはこれまでに、口腔癌においてMIA2はプロモーター領域にHNF1が結合することで発現調節されており、MIAとの相互作用によるVEGF系の活性化やリンパ球浸潤抑制による宿主免疫能の低下をもたらすことで、癌の局所進展やリンパ節転移を促進させることを報告している。 今回、申請者らは網羅的遺伝子発現解析により、口腔癌において発現亢進するMIA familyに関連した遺伝子のひとつとしてnon-SMC condensin I complex subunits H (NCAPH) を同定した。リアルタイムRT-PCRによる発現解析では、NCAPHの発現レベルは正常の口腔粘膜と比較して癌部において高く、また、リンパ節転移陽性症例ほど高い発現を示した。免疫組織化学おいてNCAPHの発現はリンパ節転移、リンパ管侵襲と有意に相関しており、多変量解析においてNCAPHの発現は独立した予後不良因子となった。口腔癌細胞株によるin vitroの検討では、NCAPHが白金製剤に対する抗癌剤耐性を促進することを見いだした。さらに、NCAPHは口腔癌のリンパ管新生を誘導するものの血管新生には関与しないことが明らかとなった。 以上の結果は。口腔癌におけるリンパ管新生を標的とする新たな分子治療の可能性を示唆するものであり、かつNCAPHは診断マーカーとしての有用性も期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新たに見いだしたマーカーの発現、機能解析にやや難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度にやや進捗の遅れの原因となった解析をすすめると同時に、新たな実験系の構築や症例数を増やした検討に着手したいと考えている。これらの研究により、MIA familyの新たなシグナル伝達経路が明らかになると同時に、口腔癌の診断・治療への応用の可能性も探れるものと期待している。なお当初の研究計画との大きな変更はない。
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Causes of Carryover |
前年度にあらたに見いだしたマーカーの発現機能解析に遅れが生じたため。
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Research Products
(2 results)