2018 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌の低侵襲治療に向けたMRI・PETの定量的指標を用いた画像診断法の確立
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18K09804
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小嶋 郁穂 東北大学, 歯学研究科, 助教 (80447169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪本 真弥 東北大学, 大学病院, 講師 (90157686)
高浪 健太郎 東北大学, 大学病院, 助教 (90447160)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | PET / 口腔癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔癌における正確な画像診断に適する頭頸部PET撮像法を新たに構築し、低侵襲治療に寄与する画像診断法を確立することを目的に研究を行う。PET/CT装置は全国で先駆けて設置された半導体検出器を搭載した新生代PET/CT装置(半導体PET)を用いた。本年度は、PETの課題である小さな病変が過小評価され定量性が低下する点について、半導体PETと従来のPET装置(非半導体PET)との違いを評価した。評価項目は、ファントムを用いた①サイズの異なるRI封入球体の放射能濃度のSUV実測値(リカバリ係数)、②吸収補正CTのmetal artifact reduction(MAR)効果によるSUV定量性への影響とした。後方視的な臨床PET画像評価項目は、③舌癌の原発腫瘍の検出能とした。 ①リカバリ係数は、半導体PETで10 mmサイズで71%と非半導体PETの10 mmサイズで41%と比べて、優れていた。②吸収補正CTのMAR処理は視覚的にartifact除去効果を認め、MAR処理をしていない場合と比べてSUVmaxの変動が抑制される傾向にあった。③舌癌の原発腫瘍の評価では、両装置間の症例における原発腫瘍のサイズや厚さ・体積の違いは無い条件下で、視覚的な原発腫瘍の検出能はT3/T4病変では非半導体/半導体PETともに100%、T1/T2病変では非半導体PETで42%であったのに対し、半導体PETでは83%と優れていた。T1/T2病変のSUVmaxは、非半導体PETで平均値3.1、半導体PETで6.9と有意に半導体PETで大きい値を示した。以上の結果により、半導体PETではファントムを用いたリカバリ係数と金属アーチファクト除去画像処理の結果から、SUV定量性に優れていることが明らかとなり、臨床画像解析でも理論値と同様に小さな口腔癌原発腫瘍の集積の定量性が高いことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
頭頸部癌に対するPET撮像方法の構築については、ファントムによる実験を進めており、最も課題と思われる金属artifactによる影響の評価に対する一定の効果を得た。 臨床画像の検討でも、小さな腫瘍をより正しく評価できているかについて検討を行い、半導体PET装置ではこれまでの検査よりも優れていることを確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
ファントム実験では、本年度得られたリカバリ係数に加えて、さらに小さなサイズの病変/集積のSUV定量性の評価を行う。さらに、新たなファントムを購入し、口腔の様々な部位や量を想定したメタルアーチファクトを想定してSUV定量性の評価を行う。 臨床画像の検討では原発巣の評価の次に、口腔癌の大きな予後因子の一つである頸部リンパ節転移に対するPET、MRIの評価を行う。MRIでは、腫瘍の顎骨浸潤の有無とその範囲に関する検討として、特にADC値測定とヒストグラム解析、病理組織所見との比較を行う。PETでは転移/非転移の鑑別に関する評価に追加して、原発腫瘍の評価によりN0症例でのリンパ節転移予測/予後評価の指標の確立を目指す。 以上の定量評価では転移/非転移の区別が得られない場合には、新たな画像解析ソフトの購入を考慮する。必要に応じて、病変の詳細かつ新たなパラメータの構築を目指し解析を行う。
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Causes of Carryover |
高額な画像解析ソフトを購入する予定であったが、既存の画像解析ソフトにて計測可能な指標によって十分な成果を得ることができたため、購入を延期した。次年度以降にPETによる予後予測に用いる指標の計測・解析のために購入を予定している。
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Research Products
(3 results)