2019 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌の低侵襲治療に向けたMRI・PETの定量的指標を用いた画像診断法の確立
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18K09804
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小嶋 郁穂 東北大学, 歯学研究科, 助教 (80447169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪本 真弥 東北大学, 大学病院, 講師 (90157686)
高浪 健太郎 東北大学, 大学病院, 助教 (90447160)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | PET撮像条件 / SUV定量性 / 口腔癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔癌に対する正確な画像診断に適する頭頸部PET/CT撮像法を新たに構築し、低侵襲治療に寄与する画像診断法を確立することを目的に研究を行う。PET検査の課題である「小さな病変では集積が過小評価され定量性が低下する」ことを改善するために放射線感度や空間/時間分解能の優れた半導体検出器(SiPM: Silicon Photomultiplier)を搭載した新世代PET/CT装置(SiPM-PET)を用いた。ファントムを用いた基礎的な研究として、分解能補正として画質向上のために臨床で多く用いられているpoint spread function(PSF)補正の定量性評価(SUV値の変動)を検討した。検討項目は、①ファントムのRI封入球体の直径、②RI封入球体とバックグラウンドとの放射能濃度比、③再構成条件のピクセルサイズとし、それぞれPSF補正の有無で影響を検討した。 本年度の検討結果として、①RI封入体の直径が小さくなるほど、SUVは変動した。さらにPSF補正が有りの場合に、その変動が大きい結果となった。②RI封入体とバックグランドとの放射能比は大きいとSUVの変動は大きくなった。さらにPSF補正が有りの場合に、その変動は大きくなる傾向がみられた。③再構成条件のピクセルサイズが大きくなるほど、SUVは変動した。さらにPSF補正が有りの場合に、その変動は大きくなる傾向がみられた。以上の結果により、PSF補正は画質向上に寄与するものの、全ての検討項目でSUV定量性が低下することが明らかとなった。本年度の結果より、ファントムを用いた基礎的な検討からSiPM-PETでは臨床において小さく高集積な病変を撮影する場合、再現性の低下を考慮した再構成条件を検討する必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PET撮像方法の構築については、ファントムによる実験を進めており、口腔癌の小さく表在性の腫瘍に対するSUV定量性に関して一定の効果を得た。昨年までの臨床画像の検討でも、小さな腫瘍をより正しく定量化できているかについての半導体PET装置での検討が済んでいる。これまでの小さなサイズの評価は、来年度以降のT1/T2原発腫瘍の予後評価や頸部リンパ節転移の診断精度を検討する計画のためにサイズを合わせて行っており、計画に基づいて進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度行ったファントム実験のRI球体の直径は口腔癌の大きな予後因子の一つである頸部リンパ節および原発T1/T2腫瘍の厚さ(5~10mm前後)のサイズを考慮しており、PET/CT検査によるリンパ節転移の正確な診断および原発腫瘍の活動性を用いた予後評価を行うのに非常に有用なデータとなる。来年度以降は臨床画像を用いて正確な診断と予後評価を可能とする指標の確立、カットオフ値の検討を行う。 以上の定量評価では転移/非転移の区別が得られない場合には、新たな画像解析ソフトの購入を考慮する。必要に応じて、病変の詳細かつ新たなパラメータの構築を目指し解析を行う。
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Causes of Carryover |
昨年度購入できなかった高額な画像解析ソフトの余剰金があり、新たな実験や設備購入に使用せずとも有用なデータを取得し、実験の進捗状況は概ね良好である。この余剰金は来年度以降に必要に応じて追加検討、および成果報告に充てる予定である。
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Research Products
(8 results)