2019 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌におけるCDDP排出系遺伝子ATP7Bの発現抑制を利用した感受性獲得の解明
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18K09807
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
吉澤 邦夫 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (60452108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上木 耕一郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40313663)
齋藤 正夫 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90345041)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 浸潤様式 / ATP7B / 上皮間葉移行 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
ATP7Bは、シスプラチンを排出するトランスポータとして知られているが、本研究では、その発現抑制を利用して感受性獲得を図ることを目的とする。さらに、浸潤様式の由来が明らかな細胞株と樹立済みのシスプラチン耐性株を用いることで、がん浸潤とATP7Bとの発現関連についても検討し、高浸潤能口腔癌においてもシスプラチンの感受性獲得を図るべく、メカニズムを解明したいと考えている。 実験に供した細胞株については、これまでのがん浸潤様式(山本・小浜分類)に基づいた系統的研究の中でその由来が明確な口腔扁平上皮癌細胞株8種とした。その浸潤様式3型として3種(HSC-2, HSC-4およびOSC-20細胞)を、4C型として3種(OBC-01, OSC-19およびOTC-04)を、4D型として2種(HOC313およびTSU)を用いた。口腔扁平上皮癌一次症例を用いて免疫染色を行ったところ、ATP7B発現は高浸潤能細胞株で強発現しており、これらの結果から高浸潤能細胞株ではCDDP排出量が高いことも分かった。また、高浸潤能細胞株は、ATP7Bを強く発現し、上皮間葉移行の性質を有することから、口腔扁平上皮癌における上皮間葉移行にスイッチを促す転写因子についても検索した。その結果、4D型由来細胞株では、ZEB1/2の発現も高発現しており、上皮間葉移行とCDDP抗がん剤耐性化に関連していることも示唆された。 これらのことから、転写因子Zeb1/2が関連し、ATP7B陽性群がシスプラチン排出系に関わり、とくに高浸潤能細胞株でその傾向が強くなることが示唆される。今後は、浸潤機構と関連した抗がん剤耐性化について検索し、in vivoでの作用も確認していく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところとくに研究進度を遅延化させる事象はなく、分担研究者とも研究において意見交換がなされているため、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通りに、おおむね順調なため、今後はさらに研究計画の申請書通りに研究分担者と連携し、上皮間葉移行や浸潤機構に連動した抗がん剤耐性化に関する検討を深め、in vivoでの作用も確認していく計画である。
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Causes of Carryover |
予定していた物品費において大きく繰り越し金が生じたが、その理由として購入予定していた機材が、共同実験室内において他の資金より購入されたため、本科研費から購入しないで良くなったことなど挙げられる。使用計画としては、令和二年度より動物実験をさらに進めるため、その費用支出が比較的大きくなることが予想され、次年度使用額をあてがう予定である。
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Research Products
(5 results)