2018 Fiscal Year Research-status Report
口腔扁平上皮癌におけるGATA転写因子の分子病態の解明
Project/Area Number |
18K09809
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今井 智章 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (80599598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鵜澤 成一 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (30345285)
中澤 光博 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (70217701)
森田 祥弘 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (30590517)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 口腔癌 / 扁平上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体の発生段階において発現する転写因子は腫瘍形成にも密接に関連する。血球系や消化器、乳腺等の臓器の発生や分化に重要なGATA転写因子群(GATA因子)は、これらの癌の分子病態にも関わる。本研究の目的は口腔扁平上皮癌(OSCC)における予後/治療効果予測マーカーとしてのGATA因子の有用性を検証すること、並びに、OSCCの発癌や浸潤・転移におけるGATA因子の役割を解明することである。 研究方法として、病理標本を用いて免疫組織化学的にGATA因子の発現と組織学的悪性度や臨床成績との相関性を解析することを主目的とする。また、GATA因子の発現調節下におけるOSCC細胞形質を評価し、上皮間葉転換や悪性形質獲得におけるGATA因子の関与とメカニズムを調べる。これにより、GATA因子の分子病態を基盤としたOSCC治療の個別化と新たな分子標的治療の開発につながることが期待される。 多臓器の発生・分化に重要な役割を果たすGATA因子は、消化器癌、乳癌、肺癌の分子病態に深く関わり、予後マーカーとしての有用性について報告されているが、OSCCについては全く不明である。OSCC細胞株を対象としてGATA因子の発現をRT-PCRで確認すると、GATA6は全株に強発現する一方、GATA3, 4, 5では発現がない(弱い)株が認められ、悪性形質とGATA因子発現には、正あるいは負の相関が示唆された。細胞増殖との関連性が指摘されているGATA6が、全株に強発現していた。GATA3について、切除標本の免疫組織学的な調査を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年6月に大阪北摂地域を震源とする大阪北部地震により研究室の実験器具も損害を受け、その再整備に注力する必要があった。ストックしているパラフィンブロックの臨床標本も破損、散乱し、その回収、整理に労力と時間を要した。 乳癌で予後因子を言われている抗GATA-3抗体による免疫染色をOSCC切除標本に対して行っているが、染色性が安定しない。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔癌登録症例の解析を目的に統計解析ソフトを新規に導入した。従来の解析では、単変量解析しかできず、様々な臨床的な交絡因子の影響が排除できなかった。専用ソフトの導入により多変量解析が可能となり、よりバイアスの少ない臨床データの解析が期待できる。
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Causes of Carryover |
免疫染色や臨床データ整理を先行させており、細胞培養実験系による物品費用があまりかからないため。免疫染色や臨床データ解析の目途がつけば、培養実験にかかる費用が増大するため使用されることとなる。
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