2018 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌の骨浸潤・骨転移において神経ペプチドCGRPが果たす役割と骨破壊制御機構
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18K09811
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉岡 徳枝 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50362984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 朗 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00170663)
奥井 達雄 岡山大学, 大学病院, 助教 (40610928)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | CGRP / 癌骨微小環境 / 癌性骨疼痛 / 口腔癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は腫瘍血管新生の亢進を介して癌細胞の増殖を促進することは知られているが,癌の骨破壊機構においてCGRPが果たす役割は明らかではない.本研究では,癌の骨浸潤,骨転移層におけるCGRPの影響について,①口腔癌の顎骨浸潤症例におけるCGRPの局在を調べる,②口腔扁平上皮癌細胞を骨髄瑞腔内に注入して作製した骨破壊モデルを用いてCGRPの発現を調べるとともにCGRPの中和抗体を用いた治療効果について検討する,③癌骨微小環境を構成する細胞群に対するCGRPの影響について血管新生因子や骨内に存在する増殖因子への関連性を中心に検討することとした.口腔扁平上皮癌細胞株(HSC2, HSC3, SAS)が乳癌細胞株MDA231と同様に,CGRPならびにCGRPのレセプターの1つであるRAMP-1が発現していることを確認した.また,HSC2に樹立されているDRG細胞株50b11の培養上清を添加し培養すると,HSC2の細胞増殖能は促進することを確認した.このことから知覚神経細胞が口腔癌細胞の増殖になんらかの影響を与えている可能性が示唆された.骨微小環境におけるCGRPの役割については,マウス骨芽細胞様細胞株MC3T3E1にCGRPを添加し培養すると骨芽細胞の分化が促進されることを確認した.今後は破骨細胞への影響についてもin vitroで検討し,その制御機構へのCGRPの関与について調べる予定としている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来であれば,骨破壊モデルを作製してCGRPの癌骨微小環境に対する影響についてin vivoの研究を先行する予定であったが,動物実験が承認されるまでに時間を要し,実験が効率よくできておらず,並行してin vitroの研究をすすめているところである.また,口腔癌の顎骨浸潤症例(臨床検体)の免疫染色を行っているが,結果と予後との解析に難渋しているところである.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度にひきつづき,骨破壊モデルの解析を行う.また並行しておこなっているin vitroの研究もすすめる.in vitroにおいてはCGRPの破骨細胞形成・分化,吸収活性に対する影響,ならびに血管内皮細胞の管腔形成能についてCGRPならびにCGRPのアンタゴニスト(CGRP8-37)を用いて検討する.
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