2019 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌の骨浸潤・骨転移において神経ペプチドCGRPが果たす役割と骨破壊制御機構
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18K09811
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉岡 徳枝 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50362984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 朗 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00170663)
奥井 達雄 岡山大学, 大学病院, 助教 (40610928)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | CGRP / CGRP8-37 / 癌骨微小環境 / 癌性骨疼痛 / 口腔癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は知覚神経由来のCGRPが直接的あるいは間接的に口腔癌細胞の増殖に与える影響について検討した.最初に知覚神経細胞株F11細胞が初代培養知覚神経細胞DRGと同様にCGRPを発現することをウェスタンブロット法で確認した.F11細胞がDRGと同様にプロトンによる刺激により活性化されるかを検討するために,F11細胞をFura2蛍光色素でラベリングし,細胞興奮マーカーである細胞内カルシウム濃度を蛍光比で評価した.HCLを添加し細胞培養液注のpHを低下させると細胞内のCa2+濃度が上昇し,細胞興奮が惹起されることを確認した.このことからF11細胞は少なくともin vitroにおいて知覚神経としての細胞興奮性を有していることが明らかとなった.また血管内皮細胞HUVECの管腔形成におけるCGRPの影響についてTube formation assayを用いて検討した.F11培養上清を添加するとHUVECの管腔形成は誘導され,CGRP拮抗阻害薬(CGRP8-37)によりこの影響は阻害されたことから,知覚神経はCGRP産生を介してHUVECの管腔形成を促進する可能性が示唆された.各種口腔癌細胞株におけるCGRP受容体であるRAMP1の発現をウェスタンブロット法で確認し,CGRP添加によりこれら口腔癌細胞の細胞増殖は促進し,CGRP8-37添加により細胞増殖は阻害され,知覚神経由来のCGRPが直接的,間接的に口腔癌の増大を促進することが示唆された.さらにDRGに口腔癌細胞株の培養上製を添加し,培養すると軸索延長の促進が誘導された.これらの結果から,癌骨破壊病変において酸性環境は知覚神経を活性化させ,疼痛を惹起すると同時に知覚神経から放出されるCGRPが血管新生を介して間接的に癌細胞の増殖を誘導すること,あるいはCGRP受容体を介して間接的に癌細胞の増殖を促進する可能性があることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroの研究を先行して行っており,現在は骨破壊モデルを作製してCGRPの癌骨微小環境に対する影響について検討しているところである.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度にひきつづき,骨破壊モデルの解析を行う. in vitroにおいてはCGRPの破骨細胞形成・分化,吸収活性に対する影響ついてCGRPならびにCGRP拮抗阻害薬(CGRP8-37)を用いて検討する.
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