2018 Fiscal Year Research-status Report
口腔マイクロバイオームを指標とした心臓移植患者の口腔管理方法の確立
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18K09817
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
今井 裕子 九州大学, 大学病院, 助教 (30592688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏崎 晴彦 九州大学, 歯学研究院, 教授 (10344516)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 補助人工心臓 / 心臓移植 / 抗血栓療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,心臓移植治療の各ステージにおける口腔細菌の動態(口腔細菌数およびマイクロバイオーム)と合併症の有無を評価し,それらを指標に適切な口腔管理方法を確立することを目的としている。 本年度は、補助人工心臓(VAD)装着前後における歯科治療、口腔細菌の動態、血液データ、全身感染症を評価することを目標に研究を遂行してきた。当院にて心臓移植予定で、口腔内感染源精査目的に当科を受診し感染源の除去が必要な患者を対象としているが、実際には、緊急VAD手術等で口腔内細菌の採取にまでは至っていない。そこで本年度は、VAD装着前後において、主に感染源の除去(抜歯)と血液データの関連を中心に解析を行ってきた。 VAD装着後の患者は、術直前にワルファリン量を減量しているにも関わらず、抜歯後出血の頻度がVAD装着前の患者群より優位に多い結果となった。VAD装着前後で、術直前のPT-INRに有意差なく、APTT-Tに有意差を認めた。VAD装着後はポンプ内でのvWFの破壊による易出血性の報告もあり、この結果は抜歯後出血には高度抗血栓療法以外の原因がある可能性を示唆している。また、VAD装着前に抜歯をすると、Hb・TP・Albの低下、CRPの上昇を認め、血液検査値としては明らかにVAD装着後の方が強い耐性を示した。しかしながら、VAD装着後の抜歯後に全身的合併症を数例認めており、今後詳細に検討していく予定である。 以上の結果の一部は、昨年度の口腔ケア学会、有病者歯科医療学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記、研究実績の概要にも記した通り、口腔内細菌の採取が滞っているが、その他の情報をもとに研究・解析を進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
抜歯1週後に口腔内常在菌は検出されなかったがドライブラインの感染を認めた症例もあり、VAD手術、心臓移植周術期における口腔内および全身感染症発症との関連の解明を詳細に行うとともに、次年度は心臓移植待機患者の各ステージにおける適切な口腔管理の指針を導くことを目指す予定である。
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Causes of Carryover |
論文投稿の諸費用として使用予定である。
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Research Products
(6 results)