2019 Fiscal Year Research-status Report
脂肪酸合成を標的とした口腔癌の増殖・進展メカニズムの解析
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18K09822
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
福田 正勝 明海大学, 歯学部, 講師 (10311614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂下 英明 明海大学, 歯学部, 教授 (10178551)
大森 喜弘 明海大学, 歯学部, 教授 (50194311)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 口腔癌 / p53 / 脂肪酸合成酵素(FAS) / SREBP / 細胞死 / Resveratrol / E-FABP |
Outline of Annual Research Achievements |
1.昨年度に引き続きtotal 17例の口腔扁平上皮癌患者の生検組織のホルマリン固定パラフィン包埋材料について,p53抗体,抗FAS抗体および抗SREBP1抗体を用いた免疫組織化学的検索を行い,その発現強度および局在を確認した.その結果,10例(58.8%)の腫瘍細胞の核にp53タンパク質の陽性反応を認めた.また10例(58.8%)の腫瘍細胞の細胞質にFAS発現を認め,p53陽性症例全例においてFASの陽性所見が認められた.さらに9例(52.9%)の腫瘍細胞の細胞質にSREBP1発現を認め,ほぼp53陽性症例に一致してSREBP1の陽性所見が認められた. 2.昨年度の結果で,Ca9-22細胞においてFASと SREBP遺伝子及びタンパク質の最も多い発現量を示した.SAS細胞においてはいずれの発現も弱かった.このCa9-22細胞にResveratrolを作用させると細胞死に陥ったが,FASの発現には影響しなかった.この際SREBP 1とE-FABPは減少した.Ca9-22細胞をTNF-alpha刺激した際のSREBP1 タンパク質の細胞質から核への移行動態をProteoExtractにて検索したところ,刺激後1 hで核内でのSREBP1発現量が亢進した.ルシフェラーゼレポーターアッセイにてSREBP 1をtransfectしたCa9-22細胞をTNF-alphaで刺激した際,SREBP1活性の亢進を認め,Resveratrolで刺激した際,SREBP1活性の低下を認めた.また,ヌードマウスの背部に1 x 1000000個のCa9-22細胞を播種し,腫瘍塊を形成させた上で,FAS及びSREBP1プローブを用いてin situ hybridizationを行なったところ,いずれも発現亢進を認め,Resveratrolで処理した際,腫瘍塊の変性細胞死を認めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度はProteoExtract,ルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて,安定したデータが出たので,当初の計画以上の達成度が得られた.本年度の研究活動は概ね順調に進行したと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
1.引き続いて,多数の口腔扁平上皮癌の生検組織材料を用いて,免疫組織化学的にp53,FASおよびSREBPの発現強度および局在を確認する.これらの結果と個々の症例の臨床病理学的諸因子との相関関係について解析を行う. 2.FASおよびSREBPの発現増強が認められたヒト口腔扁平上皮癌由来細胞株Ca9-22細胞を用い,in vitroの系で研究を行う.ここで,Resveratrolの刺激によって起こった細胞死のメカニズムについてその詳細を追求する.Ca9-22細胞を用いSREBPをノックダウンさせた際のE-FABPの発現について検索する.これまでの実験系と同様のことを,FAS とSREBPの遺伝子・タンパク質の発現レベルが弱かった SAS細胞を用いて行う. 次年度は最終年度で本研究の総括を行う年であるが,ほぼ計画通りに進んでいるため,今後は足りない実験が終わった後は,今までの実験の検証を行う予定である.海外での学会発表を予定しているが,世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が深刻であるため,学会活動は自粛し,論文の執筆活動に徹し,旅費として計上している経費は今後の展望として追加実験を行うことを考えている. 実験データが多くなってきたため,少しの間であるが,そのデータ整理のための研究補助を謝金でお願いすることも考えている.
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Causes of Carryover |
2019年度は,研究の進行状況が非常に順調であったため,比較的早いうちに満足するデータが出てきた.ちょうど年度末のタイミングで少し使用額を残す形で年度を終了することになったが,わずかな金額であるので,問題なく次年度に消費できると考えている.
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