2018 Fiscal Year Research-status Report
ラジカル捕捉剤edaravoneと脂肪幹細胞分泌物によるX線誘発唾液腺障害の軽減
Project/Area Number |
18K09824
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
那須 優則 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (50130688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 哲郎 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (10508675)
三橋 扶佐子 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (60187896)
井出 吉昭 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (70409225)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 唾液腺 / 放射線傷害 / 防護作用 / エダラボン / secretome |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部の放射線治療による唾液腺実質の破壊は、唾液成分の合成と分泌の低下をおこし、様々な口腔内疾患の原因となる。そのために放射線障害の早期軽減は重要であり、本研究計画ではラジカル消去剤であるエダラボンおよびsecretome の放射線防護効果を調べることを目的としている。 X線やγ線により生じたラジカルが放射線障害の原因であるが、エダラボンは国内で医薬品として認可された唯一のラジカル消去剤(ラジカルスカベンジャー)であり、その軽減効果が期待される。当該年度において我々はラット顎下腺由来細胞株RSMG-1に対するエダラボンの放射線防護効果について調べた。 ラット顎下腺由来細胞株RSMG-1はコラーゲンコートしたディッシュで無血清培地であるMCDB153培地を用いて培養した。培養した細胞にエダラボンを添加し、1時間後に1又は3GyでX線を照射した。照射後、エダラボン非添加培地で48時間培養し各種解析をおこなった。結果的にはエダラボン添加による明らかな細胞障害軽減作用は認められなかった。しかしエダラボンは投与量によって細胞毒性が生じる可能性が報告されており、投与量の検討が必要であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度において我々はラット顎下腺由来細胞株RSMG-1に対するエダラボンの放射線防護効果について調べたが、明らかな放射線防御作用は認められなかった。またエダラボン自体の細胞毒性についても検討が必要であることが分かった。 またさらなる調査によってRSMG-1細胞自体、幾分未分化状態であり、薬理学的作用を確かめるためには、細胞の分化状態の制御など培養にもある程度のステップが必要であると考えられた。そのため現在、分子マーカーやRNA発現プロフィール解析を行って基礎的データの収集を開始した。若干の基礎データの収集が必要であることから、研究の進捗としては、若干計画に遅れが生じていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
RSMG-1の分化状態についてマイクロアレイなどを用いて網羅的に調べる。さらに培養方法を確立して、3次元培養を行って、さらに唾液腺の分化法を確立する。 得られた基礎データを発表する。そして分解した細胞に対してエダラボンやsecretomeの放射線防護作用を調べていく予定である。
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Causes of Carryover |
エダラボンの放射線防護作用を検討するために、対象細胞であるRSMG-1細胞株の基礎データの収集のための実験が必要となったため、高額な初代培養細胞を購入していないため、予算の使用が遅れている。 しかし、その後はsecretome単離のための脂肪幹細胞等の購入およびにRNA発現解析に予算を使用させていただく予定である。
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