2018 Fiscal Year Research-status Report
神経が顎顔面形成に与える影響を考える-顔面半側萎縮症と顔面半側肥大症の病因解明-
Project/Area Number |
18K09832
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
川邉 紀章 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (00397879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 紘貴 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10583445)
早野 暁 岡山大学, 大学病院, 講師 (20633712)
岡村 裕彦 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (20380024)
宝田 剛志 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 研究教授 (30377428)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 三叉神経 / 顔面神経 / 顎顔面形態形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
顎顔面領域の形態異常は外表奇形の中でも最も割合が高く、著しい不正咬合を呈することから、歯科領域において重要な疾患の一つである。しかし、多くの疾患の発症機序はほとんど解明されておらず、有効な治療方法も開発されていない。本研究課題では、顎顔面領域の成長期における正常な形態形成には、Shhを介した神経細胞による幹細胞の制御が重要な役割を担っており、この制御機構が崩れると顔面半側萎縮症や顔面半側肥大症など顎顔面領域の形態異常が起こるのではないか、との学術的「問い」を立てた。したがって、本研究の目的は、マウスの三叉神経および顔面神経が、Shhを介して成長期の顎顔面の形態形成に及ぼす影響を明らかにし、顔面半側萎縮症や顔面半側肥大症など顎顔面領域の形態異常の発症機序を解明することである。 本年度の研究は、まず実験①として、三叉神経および顔面神経が、成長期の顎顔面領域の形態形成にどのような影響を及ぼすのかを明らかにするための実験を行なった。顔面半側萎縮症のモデルとして、三叉神経および顔面神経を切断する神経活動遮断実験を、顔面半側肥大症のモデルとして、三叉神経および顔面神経に電気刺激を加える神経活動賦活化実験を行った。その結果、ラットの三叉神経切断による神経活動遮断実験において、切歯の形成速度の低下や歯髄の石灰化、エナメル芽細胞や象牙芽細胞の配列の乱れが認められた。このようにラットの三叉神経切断による神経活動遮断を行うことによって、ヒトの顔面半側萎縮症(ロンベルグ症候群)で認められる臨床所見に類似した所見が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、顎顔面領域の正常な形態形成には、神経細胞による幹細胞の制御が重要な役割を担っており、この制御機構が崩れると顔面半側萎縮症や顔面半側肥大症など顎顔面領域の形態異常が起こるのではないかとの仮説を立てていた。本年度の研究結果から三叉神経の神経活動遮断によって顎顔面領域の正常な形態形成が阻害されるというということを証明することができ、本研究の仮説が正しいということを示すことができたため、本研究は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度(令和元年度)では、平成30年度に引き続き、ラットの三叉神経および顔面神経を切断する神経活動遮断実験と、三叉神経および顔面神経に電気刺激を加える神経活動賦活化実験の実験結果解析を行なっていく。また、同時に実験②および実験③で必要な遺伝子改変マウス作成を行なっていく。
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Causes of Carryover |
平成30年度では、実験①は予定よりも順調に進んだため研究費が少なくてすんだことと、実験②および実験③で必要な遺伝子改変マウス作成を行わなかったため、次年度使用額が生じた。平成31年度(令和元年度)では、実験②および実験③で必要な遺伝子改変マウス作成に次年度使用額を使用していく。
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