2020 Fiscal Year Annual Research Report
Brain functional evaluation of pain induced by orthodontic tooth movement
Project/Area Number |
18K09851
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五十嵐 薫 東北大学, 歯学研究科, 教授 (70202851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金高 弘恭 東北大学, 歯学研究科, 教授 (50292222)
菅野 彰剛 東北大学, 医学系研究科, 講師 (20578968)
日原 大貴 東北大学, 歯学研究科, 助教 (60781292)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歯根膜 / 脳磁図計 / 機械的刺激 / 矯正歯科 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯の移動に伴う痛みあるいは不快感は矯正治療における重大な副作用の一つであり、これから治療を受けようとする患者にとって大きな関心事でもある。そのため、この痛みの性質やメカニズムを明らかにすることは歯科矯正学において重要な課題であるが、従来の研究では主観的評価による手法が主に用いられており、未だその特徴が十分に解明されているとは言い難い。 そこで本研究では、新たな感覚の評価手法として非侵襲的な脳機能イメージング法である脳磁図計(MEG)とMRIを用いて、患者の矯正治療前後の歯根膜刺激時体性感覚誘発磁界を計測し比較することで、矯正治療に伴う歯の痛みが歯根膜感覚の受容に与える影響を明らかにすることを目的とした。 本研究では、矯正学的歯の移動による疼痛が体性感覚誘導磁場に与える影響に加え、上下顎第一大臼歯機械刺激時の一次体性感覚野の反応について比較検討を行った。結果として下顎第一大臼歯刺激時の第一波の頂点潜時は、上顎第一大臼歯機械刺激時よりも有意に短いことが明らかとなった。また、下顎第一大臼歯機械刺激時の信号強度は上顎第一大臼歯刺激時よりも有意に大きかった。第一大臼歯刺激時の対側半球における反応部位では、上顎と下顎で有意差は認められなかったが、上下第一大臼歯刺激時の反応部位は左手首の反応部位に比べて前下方かつ外側に反応が観察された。上述の結果から、下顎第一大臼歯歯根膜感覚の方が上顎第一大臼歯歯根膜感覚より速く、大きな信号として中枢へと情報伝達されることから、下顎第一大臼歯歯根膜感覚は咬合力発現、顎位の設定、咀嚼運動を行う際により重要な役割を担う可能性が示唆された。 これらの発見について、英文誌へ論文の投稿を行った。現在もまた、掲載に向けて投稿作業を継続している。
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