2018 Fiscal Year Research-status Report
ミニブタ歯牙移動実験系を用いた矯正用Hap/Colオンプラントの実用性の検証
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18K09852
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鈴木 聖一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (90187732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 啓司 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (20262206)
東堀 紀尚 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (50585221)
菊池 正紀 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (00354267)
上園 将慶 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 特任助教 (80737346)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 矯正用アンカレッジデバイス / オンプラント / ミニブタ / 有限要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科矯正臨床におけるTADs(temporary anchorage devices) の導入は、矯正治療における絶対的固定源としてその利便性を大きく推進させるものと期待される。しかし、歯間部歯槽骨に埋入するミニスクリュ-型デバイスは歯根や歯胚を損傷する危険性があり、歯間の狭い症例や歯槽骨内に多数の永久歯胚を包含する混合歯列期の症例ではミニスクリュー型デバイスの使用は困難である。 そこで歯根や歯胚の損傷の危険性が無い歯槽骨、顎骨の骨表面に固定されるオンプラント型アンカレッジデバイスの開発を目的とした研究に着手した。従来の研究によりハイドロキシアパタイト/コラーゲンナノ複合体(HAp/Col) をコーティングしたチタンロッドをラット頭蓋骨骨膜下に移植したところ、チタンロッドを骨面に固定する充分な量の新生骨が生成された。そこで本研究では、ヒトにおける実用を想定して有限要素法によるシュミレーションモデルを用いてオンプラントと骨の接合力の理論値を算出するとともに、実際にミニブタにシュミレーションに基づいた形状のオンプラントを埋入し、4週間後にオンプラントと骨の接合力およびオンプラント周囲の新生骨の形状等を解析しシュミレーションの想定と比較検討することを目的とした。直径0.5mmの円形、1.0mm×0.5mmの楕円、半円および長方形のチタンロッドを骨正面に固定し生成される新生骨の高さを345μm~525μmまで順次変化させる三次元解析モデルを作成、チタンロッドに平行かつ長軸に垂直な力を負荷した際の骨接合強度として骨接合界面における新生骨の破壊強度を求めた。その結果、断面が長方形のロッドでは新生骨の高さが骨接合強度に依存せず、常に最も高い骨接合強度を有することより、オンプラントの断面形状として長方形が最適であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の研究により、オンプラントの最適形状として断面が長方形であることが明らかとなった。さらにこの形状では骨接合力がオンプラント周囲の新生骨の高さに依存しないことも示唆された。今後はこの情報をもとに、実際の動物実験で用いるオンプラントの形状をシュミレーションモデルを構築して3Dプリンターで作成し、実際にミニブタに埋入して、シュミレーションで想定した骨接合力を発揮できるか検証していく予定であり、研究の進歩状況は良好と評価される。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究により、断面が長方形のものがオンプラントとして最も骨接合力が高いことが明らかとなった。今年度以降はこの結果を踏まえ、これら三次元解析ソフトによって構築されたシュミレーションもでるが実際の動物実験で再現されるか検証する。即ち、ミニブタの上顎骨骨膜下へ埋入するオンプラントを想定し、アンカレッジデバイスとして十分な骨接合力を発揮する形状を有するシュミレーションモデルを作成する。ついで、3Dプリンターを用いてこの形状を有するオンプラントを作成し、ミニブタの上顎骨骨膜下に埋入する。埋入したオンプラント周囲の新生骨の生成状況をCTで観察し、埋入後4週においてオンプラントと骨の接合力の測定を行い。またオンプラントを周囲組織と一塊に摘出して組織学的および組織形態計測法による解析を行う。これら、実際の動物実験によりもたらされる、骨、新生骨の形状、密度、硬度および骨接合力などのデータを、シュミレーションモデルに用いた想定値との比較検討を行い、シュミレーションモデルの精度の向上を図る予定である。
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Causes of Carryover |
今後計画している動物実験で、動物購入費および飼育代に費用がかかると予想されたため。
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