2020 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of a comprehensive dental care system for hypophosphatasia that combines basic and clinical evidence
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18K09854
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大川 玲奈 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (80437384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古々本 一馬 大阪大学, 歯学部附属病院, 特任助教(常勤) (00803107)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 低ホスファターゼ症 / 骨系統疾患 / セメント質形成不全 / 乳歯早期脱落 / アルカリホスファターゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
低ホスファターゼ症 (HPP: Hypophosphatasia) は骨の石灰化不全と4歳未満の乳歯脱落を主症状とする遺伝性骨系統疾患である。 本研究では、HPPの歯科全国実態調査を行い、歯限局型(16症例)と歯限局型以外の病型(36症例)について、HPPの病型と歯科症状の関係について分析した。その結果、診断時血中ALP値は歯限局型が歯限局型以外の病型よりも有意に高かった。歯限局型の89%が常染色体顕性遺伝であったのに対して、歯限局型以外の病型の96%が常染色体潜性遺伝であった。ALP活性を有さない日本人特有の変異である“c.1559delT”は全症例の70%に認められた。歯科症状に関しては、歯限局型では100%の乳歯早期脱落を認めた一方で、歯限局型以外の病型では、56%の症例において乳歯早期脱落が認められた。歯(エナメル質・象牙質)の石灰化不全は42%の歯限局型以外の病型において認められたのに対して、歯限局型で歯の石灰化不全を有した症例はなかった。以上の結果から、歯限局型と歯限局型以外の病型の遺伝形式は有意に異なり、低ホスファターゼ症の治療に際しては、この違いを考慮することが重要であることが示唆された。 また、歯科全国実態調査の結果をもとに、日本人に最も多い遺伝子変異を有する重症型モデルマウス、日本人に2番目に多い遺伝子変異を有する軽症型モデルマウス、歯にのみ症状が現れる遺伝子変異を有するモデルマウスを作製中である。 さらに、乳歯の歯周細胞の抽出・培養方法を確立し、歯限局型、小児型・酵素補充療法を受けている周産期重症型のHPP患者由来の歯周細胞を3系統樹立した。
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