2019 Fiscal Year Research-status Report
The role of resveratrol for heterotopic pain caused by orthodontic dental movement
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18K09868
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
島津 徳人 麻布大学, 生命・環境科学部, 准教授 (10297947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 守 麻布大学, 生命・環境科学部, 教授 (20227036)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歯の矯正移動 / ラット / 臼歯 / 疼痛 / 三叉神経節 / ニューロン / グリア細胞 / 免疫組織化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度から継続して、NiTiコイルスプリング矯正装置(15g荷重)を使用して、ラット上顎第一臼歯の近心移動実験を行った。動物モデルを用いた矯正学的な歯の移動処置においては、負荷される矯正力の性質(荷重量、作用方向、負荷頻度)を規定することにより、動物の麻酔導入からNiTiコイルスプリングの装着まで30分程度で完了できるプロトコールを確立している。無処置群、矯正処置群、矯正処置+レスベラトロール群ラットにおける逃避反射閾値の変化の比較したところ、矯正処置群ラットの左側口ひげ部分に対するvon Frey hairsによる機械刺激の逃避反射閾値は、処置前と比較して処置1日目から3日目において有意に低下した。矯正処置群ラットにおいて、矯正処置を施していない右側口ひげ部分の閾値および無処置群において1日目から3日目まで大きな差は見られなかった。矯正処置を施した動物において、1日前からレスベラトロール (2mg/kg, i.p.) を投与しておくと1日目の矯正処置群ラットの機械刺激に対する逃避反射閾値の低下は、矯正群動物に比べて有意差は無いものの閾値の上昇が見られた。その後3日目に有意な回復が見られた。矯正処置群ラットにおける機械刺激に対する逃避反射閾値の低下は、矯正処置後、3日間のレスベラトロールの慢性投与 (2mg/kg, i.p.) により無処置レベルまで有意に回復することが確かめられた。歯の近心移動に伴う歯根膜組織由来の三叉神経節ニューロンの興奮性増強に対する三叉神経節内のニューロンとグリア細胞間のクロストークの役割を解明する目的では、上顎第一臼歯歯根膜部に蛍光色素(2% Fluorogold)をマイクロシリンジで注入し、三叉神経節ニューロン内でのCCL2とCCR2の空間局在を免疫組織学的に解析を遂行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物モデルを用いた矯正学的な歯の移動実験においては、ラット臼歯が実験系として頻用されてきたが、負荷される矯正力の性質(荷重量、作用方向、作用期間、負荷頻度など)が厳密に規定されていない例が多い。そのため、本年度においては、ラット上顎第一臼歯の近心移動モデルにおいて、矯正処置と歯の近心移動に伴う疼痛発現との関連を三叉神経節のニューロンとグリア細胞との相互作用を明確に理解することを目指して、矯正装置の装着操作に起因する疼痛を可能な限り排除し、第一臼歯の移動による疼痛のみを解析対象とできるよう、ラット矯正学的歯の移動モデルの規格化に注力してきた。これにより、所定の実験プロコールを遂行するうえでは、麻酔の導入からNiTiコイルスプリングの装着まで30分程度で完了できるようになった。そのため、行動学的解析による逃避反射閾値の測定が可能となり、自発痛のより詳細な解析データを得ることに繋がった。また、臼歯の矯正移動に伴う炎症により歯根膜由来の三叉神経節ニューロンとサテライトグリア細胞のクロストークに変調が生じるか、上顎第一臼歯歯根膜部に蛍光色素(2% Fluorogold:FG, 10μl)をマイクロシリンジにて注入し、この部位を支配する三叉神経節ニューロンを蛍光標識することに成功している。また、三叉神経脊髄路核尾側亜核・広作動域ニューロン活動の細胞外記録のプロトコール確立もできていることから、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題においては、三叉神経節ニューロンの興奮性に対するニューロン-グリア細胞間のクロストークの病態生理学的役割を形態的及び機能的の両面より系統的に解析することを目的としている。今後の研究推進方策としては、歯の移動に伴う歯根膜由来の三叉神経節ニューロンの興奮性増強に対する三叉神経節内のニューロン-グリア細胞間クロストークの病態生理学的役割をより明確にすることを目的として、実験的歯の移動に伴い三叉神経節内のCCL2/CCR2シグナル伝達系が異所性痛覚過敏を誘導し、この伝達の抑制が疼痛緩和に重要であることを証明するために免疫組織学的に解析を行う。次に電気生理学的手法を用いて、歯の矯正移動により、歯根膜支配の三叉神経節ニューロンの興奮性が、局所的にパラクリン分泌された化学物質によりどのように変調するかをマルチバレル電極による微少電気泳動法を用いて検証する。これに併せて、歯の矯正移動した動物の疼痛関連行動が、パラクリン分泌された化学物質の受容体拮抗薬で抑制可能か否かについても合わせて検討する予定である。以上の検証により、矯正学的歯の移動に伴う局所的炎症により生じる歯根膜由来の三叉神経節ニューロンとグリア細胞クロストークの機能的役割について、疼痛関連行動との関連性を明らかにし、三叉神経節内におけるパラクリン・オートクリン分泌機構による修飾機構の解明に新たな知見を加えることができる。さらに、矯正治療時に生じる疼痛の発現機序の解明は、歯科矯正処置時の疼痛緩和療法の新たな開発に貢献する可能性があり、重要性も高いと考えられる。
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Causes of Carryover |
年度末にコロナウイルスの感染拡大のため、研究活動が中断したために予算が中途執行となったため。最終残額は34,444円と少額であり、本年度の予算執行についてはほぼ計画通り実施できている。
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